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議会通信 vol.82 2020年 夏号

私たち「福岡市民クラブ」は、市民の代表である議会の立場から、とりわけ最も市民生活に近い会派として、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた環境を一日も早く打開し、元気なまち福岡を取り戻すべく、要望・提言を提出しました。(写真は、第4回光山副市長に手交)

私たちが提案・実現した「新型コロナウイルス感染症対策」

 年明けから発生した新型コロナウイルスの感染拡大により私たちの暮らしや仕事、子育て環境など、あらゆる分野に大きな影響を受けています。市民の皆さまから多くの声をいただく中、2月末から5月末にかけて4回にわたり、福岡市民クラブとして髙島市長に対し提言要請を提出してきました。その中から、本市の対策として取り入れられた政策・事業について、ご報告いたします。

  実現した項目の一部をご紹介

保健所など一次窓口の人員体制の拡充や相談窓口の電話回線の増設
感染者・陽性者が公共交通機関を使用しなくて済むような移動手段の確保
治療に専念できるよう子どもの預け先、介護受入先の確保
乳幼児健診(4カ月健診)の個別実施
寄付・寄贈ニーズの窓口設置と募金の環境整備

家賃支援の対象拡大(駐車場込み、テナント料可)と期間延長
テレワークを導入する中小企業への支援(資金・サポート企業の紹介)
休業要請の対象外店舗(理美容・クリーニングなど)への支援の実施
内定取消者・失業者を会計年度任用職員として雇用
新たにテイクアウトに取り組む飲食店への支援

テレビを活用した教育プログラムの実施
来年度以降導入予定だった1人1台のタブレット配布事業の前倒し
少人数授業の実施に必要な教室への空調整備
教員や学習支援員や補助員の追加を早期に配置
留守家庭こども会の受け入れ体制の拡充


中止となった児童・生徒の全国大会予選等の代替となる大会の開催を支援するため、総額630万円の補助金が補正予算に計上されました。

対象者
福岡市スポーツ協会、福岡県スポーツ協会等に加盟する競技団体
代替大会開催のために関係者で構成される団体
支援内容
感染症拡大防止対策経費・大会運営経費について、5万円を上限に助成
申請・受付
申請:大会開催の14日前まで 期限:令和3年3月17日まで

区 分 対 象 例
 感染症拡大防止対策経費   アルコール消毒液、体温計、マスク、除菌マット など
 大会運営経費  会場使用料、審判謝金、賞杯 など


安心して学習できる環境の整備を求む!

議案質疑[6月15日] 井上 麻衣(城南区)

 学校の全面再開にあたり、3密の回避と学力保障のために実施する35人以下の少人数編成授業のため、必要な教員の追加配置や新たに使用する教室への空調整備について質し、熱中症対策のため特別教室や給食室等への早期の空調整備を求めました。合わせて、第2波も視野に、学校に通えない子ども達がオンライン授業を受けられる体制の早期構築を求めました。ひとり親家庭への支援として国が実施するひとり親世帯特別給付金について、追加申請を促すため、簡便な手続きとするとともに、他局との連携も含めた制度の確実な周知を求めました。加えて、市が創設した養育費確保のための支援策をはじめ、さらなるひとり親家庭への支援の拡充を要望しました。

就活・再就職支援を強化すべし!

議案質疑[6月15日] 落石 俊則(東区)

 新型コロナウイルスの影響により、来年3月卒業予定の学生を対象にした合同会社説明会が全国的に中止となるなど、就職活動に大きな影響を及ぼしています。また、倒産や解雇等により全国で約2万人が職を失っており、県内の雇用状況も悪化しています。市は、地場中小企業等の採用活動と、大学生等を加えた職を探している人を対象とする「オンライン採用・就職活動」支援を行うとしています。多くの派遣社員が契約満了を迎える6月以降、さらに解雇、雇止めの増加が予測されることから、「オンライン採用・就職活動」支援に加え、各区役所の就労相談窓口事業の拡充や各区での就職相談会の開催等、再就職支援の体制を強化すべきと要望しました。

学校休業をふまえ、高校入試に臨時的措置を

一般質問[6月16日] 宮浦 寛(早良区)

 感染症対策にかかる学校休業は約3カ月という異例の長期間となり、今後、学校現場では様々な工夫がなされるものの、今年度の学校での学習時間の減少は避けられないことを指摘。特に、高校受験を控えた中学3年生の生徒や教員には現実的な不安も多く、来春の入学試験に向けて配慮が必要であると考え、「試験範囲等の見直しとその早期周知の必要性」について本市の認識を問いました。教育長からは「出題範囲や内容、出題方法等に適切な工夫を講じることが必要と認識。可能な限り早期に情報提供し、入学志願者の不安払拭に努める」と答弁がありました。この他、「保健所体制の強化」「障がいのある児童生徒の就学」について質問を行いました。

市民との共働を進めるための支援を求む!

一般質問[6月17日] 田中 たかし(西区)

 福岡市における「共働」の取組みについて、ゴミ減量と自治会町内会の現状という二点を軸に質問しました。市民の環境美化への意識が高まる中、共働でゴミ減量を推進するはずの行政の体制が不十分ではと指摘。環境業務員の有効配置など市民の環境ニーズに応える体制強化を要望しました。また、市が「共働のパートナー」とする自治会町内会ですが、市の協力依頼等が増加しているため疲弊していること、任意団体とはいえ公共性が高いことなどを明らかにし、自治会町内会の立ち位置が不明確なため会員勧誘に支障が出ていることを踏まえ、加入促進のための積極的な支援と立ち位置の明確化について、条例化も視野に入れて検討するよう強く要望しました。

農業をめざしている女性達を応援しよう!

一般質問[6月17日] ついちはら 陽子(東区)

 新型コロナウイルス感染症の影響により在宅時間が増えたことから『職』と『食』について改めて見直す機会が増え、農業に関心を持つ女性も増えているようです。農業の担い手不足が課題となる中、女性の新規就農者の増加が期待されています。
 福岡市が行っている女性の新規就農者の支援策に「農業女子チャレンジ応援事業」と「女性農業者活躍支援事業」がありますが、就農にまでは至っていない状況です。女性が単独で農業に取り組むことは難しいことから、同じ気持ちを共有できる仲間づくりも必要であり、農林水産省が実施している「農業女子プロジェクト」への参加を促すなど、農業にチャレンジしようとする女性達への積極的な支援策を要望しました。

放置空き家を利活用し地域の活性化を!

一般質問[6月18日] 近藤 里美(南区)

 本年5月現在、市内の管理不全な空き家は、法令に則り是正しているものの、178件にのぼりました。空き家の利活用が進みにくい原因は、相続手続き等の権利関係、改修費の負担、用途変更の際の法適合の3点が挙げられ、対策として専門家の相談体制や空き家バンクによる情報提供をスタートしました。市内には老人ホームなどの福祉施設にリニューアルされた事例もあり、最近は在宅ワークの急増により、近場のワークスペースも望まれています。所有者が不明な放置空き家を防ぎ、地域交流施設や福祉施設、新たなワークスペース利用など、地域ニーズにあった住宅の利活用を進め、住み続けられる・住みやすい地域へと活性化が図られるよう要望しました。