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議会通信 vol.84 2021年 新春号


 昨年は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により、私たちの暮らしは多大な影響を受けました。誰も経験したことのないウイルスとの戦いの中、多くの課題に直面しながらも、対策を講じつつ前進してきました。これらの教訓を活かして、 市民の命と財産を守るための備えを強化するとともに、豊かな暮らしと地域の活性化につなげていくため、10名会派一丸となって政策の実現に邁進します。                                            福岡市民クラブ 一同


 12月8日(火)、髙島市長に「令和3年度予算要望」を提出しました。皆さまにお示ししております『会派基本政策2019』(※)の4つの戦略に基づく施策をベースに、新型コロナウイルス感染症対策も含め、要望を提出しました。提出にあたっては、11月18日(水)に開催した議会活動報告会でいただいたご意見も加え、要望は「全86項目210施策」にのぼりました。


 私たちの要望が、令和3年度予算に反映されるよう、第1回定例会の予算審議に向けてしっかりと準備を進めていきます!
※会派基本政策2019は、福岡市民クラブ公式ホームページに掲載しております。

【戦略別の提案施策】


■ 生活保障戦略 ①介護サービス事業所への追加支援、②日常的な感染症対策としての保健所機能の強化、③障がい福祉サービス事業所の運営への支援策 他、68施策。●●●●●●


■ 成長戦略 ①福岡空港・博多港の国際線・航路の検疫体制の強化、②交通手段として利用者が急増している自転車の安全対策 他、48施策。


■ 地域主権戦略 ①オンラインで手続きできる行政サービスの広報周知、②オンラインを推進しつつ個人情報の提供に関する厳格性の担保他、34施策。


■ 共生戦略 ①35人以下学級の実地に必要な教職員の増、②オンライン授業の拡充に向けた教材や教職員向け研修の充実 他、60施策。



「福岡市議会会議規則の一部を改正」
 福岡市議会では、議会改革特別委員会での議論を経て、議員が出席できないときの理由として、育児と家族の介護を追加する必要があることから、規則の改定を行ないました。(以下の赤字表記の部分を追加しました。)

(欠席の届出)
第2条 議員は、疾病、出産、育児、家族の介護その他自己のため出席できないときは、その理由をつけ、当日の会議時刻までに議長に届け出なければならない。



① PCR検査体制の強化
・検査センター増設:接触確認アプリ(COCOA)で通知を受けた方等を対象としたPCR検査サテライトを天神(市役所横)に開設
・出張PCR検査の実施:高齢者施設や感染流行地域等を対象に専用車両による出張検査
② 高齢者を対象としたPCR検査への助成
65歳以上の高齢者を対象に、PCR検査を希望する方の検査費用を助成 ※医療機関での検査を予定(詳細は1月公表予定)
③ 学習指導員の追加配置
長期にわたった臨時休業の影響により、学習内容の理解や定着が不十分となっている児童生徒に対応するため学習指導員を追加配置

 令和2年度第6回定例会12月10日(木)~18日(金)が開催され、新型コロナウイルス感染症の追加対策や職員の期末・勤勉手当の削減を含む令和2年度一般会計補正予算、一般議案など全72議案について審議しました。


 子どもの保健の向上と福祉の増進を図るため、通院にかかる子ども医療費助成事業の対象者の範囲を中学生まで拡大します。
●自己負担額

  • 通院にかかる医療費の1月あたりの自己負担額の上限を1医療機関につき、500円に変更。

●施行期日

  • 令和3年7月1日(7月の受診分から対象)

【改正内容】
区 分 現 行 制 度
改 正 後
3歳未満  自己負担なし 自己負担なし
3歳以上就学前  月 600円まで 月 500円まで
小学生  月 1,200円まで
中学生  (制度対象外)

市民に親しまれる研究開発拠点の建設を!

議案質疑[12月10日] 田中 たかし(西区)

 市職員の給与に関する一般会計予算の補正は、期末・勤勉手当が引き下げになることから減額となっています。人事委員会勧告を踏まえたこの引き下げはやむを得ませんが、一方で時間外勤務手当が大幅な追加補正となっており、感染対策や経済対策などの職務に励む職員の労働時間が大幅に増加している点を指摘。体調管理も含めて良質な労働環境を維持するために適切な配慮をするよう要望しました。
 九大伊都キャンパス周辺地域を「研究開発拠点の形成を図る地区」にするため実施される用地取得については、市が取得した西区元岡の土地を民間事業者に売却し、開発を進めるもの。民間により進められる事業のため、景気動向などにより当初の提案書通りに進捗しなかった場合の是正措置について確認。今後も事業者と連携を密にし、周辺住民へ丁寧な説明をするとともに、地域の要望も取り入れながら市民や利用者に親しまれる施設が確実に建設されるよう強く要望しました。

学校に実効性ある働き方改革のかぜを!

一般質問[12月11日] 落石 俊則(東区)

 子どもたちの「学びの保障」のためには、学級運営に加え、理解や定着を促せる教職員の配置が重要です。しかし、コロナ禍もあり、教職員の常態化した長時間勤務は一向に改善されず、病気休職者が増加するなど、ますます労働環境は悪化しており、教職員の健康維持対策が急務です。学校現場への支援員等の配置を進めるとともに、学級運営に支障をきたさないよう、時間外勤務の解消や人的配置等、学校のさらなる働き方改革の推進を要望しました。
 市の調査で多くの高齢者が就業を希望していることが明らかになりました。高齢者は健康状態・職業経験等の個人差があり、希望する業種・職種も多岐に渡っており、また事業者とのミスマッチもあることから、ハローワーク等の関係機関との連絡・調整を行う総合的な窓口部署の設置を要望。高齢者に特化した就業相談窓口『シニア・ハローワークふくおか』の開設に向け,国と調整を進めていく、との答弁を得ました。

地元食材を活かしWFエリアに観光スポットを

一般質問[12月14日] 山田 ゆみこ(博多区)

 福岡市は豊かな自然に恵まれた都市ですが、ココという観光スポットがないと言われます。現在、ウォーターフロント(=WF)地区の再整備を進めようとしていますが、コロナ禍により当初の計画やスケジュール通りに進められない状況となっています。ポストコロナ時代を見据え、元気な福岡市を維持するために、再整備計画にある賑わいの創出施策として、玄界灘で取れる海の幸などの地元食材を活かした施設、例えば店舗式の屋台村のような施設を設置し、観光スポットとできないかと考えました。
 賑わいの創出と合わせて、初めて飲食店を出してみたい方や、腕を振るってみたい料理人がチャレンジできる、飲食版スタートアップといった行政が後押しする施策などを取り入れることも提案しました。国内外からの来街者をはじめ市民も楽しめる、海辺空間を活かした身近な観光スポットとしてWFエリアが本市の代表的な観光名所になるような整備計画となるよう要望しました。

悲しい虐待を未然に防ぐために周知徹底を

一般質問[12月14日] ついちはら 陽子(東区)

 本市の児童虐待の相談対応件数は、令和元年度2,910件で5年前の約3倍にも及び、年々増え続けています。全国の虐待死した子どもの年齢構成をみると、0歳児が全体の約半数で最も多く、市内調査による虐待者の半数は実母となっています。虐待者に実母が多い背景について、当局からは核家族化等に伴う育児不安などの増大があげられました。育児不安を取り除き、母子の心と体の健康状態を把握するため本市が実施している「乳児家庭全戸訪問」の実施率は90%と高いものの、未実施の家庭に虐待の可能性が秘められているものと推察されます。
 母親にとって、心身の健康状態が不安定で育児不安を抱える時期に確実に面談ができることが、虐待を未然に防ぐためにも有効であり、非常に重要であると考えます。乳児家庭全戸訪問事業については、様々な関係機関と連携して、母子共により確実に安全確認を取れるよう、他都市の事例も参考にしながら尽力してもらうよう要望しました。

女性の視点を生かした地域防災の推進を求む

一般質問[12月15日] 成瀬 穫美(南区)

 災害時の避難所で、女性と男性のニーズの違いが配慮されなかったり、わいせつ事案や性暴力が報告されたりしていることから、女性の視点での避難所運営について質問しました。
 本年5月に内閣府より男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドラインが出されたことを受け、本市での避難所運営の対応について尋ねたところ、男女別のレイアウトやゾーニングについての回答はありましたが、それはもちろんのこと、危険を感じたり被害にあったりしときの相談のしやすさや情報の収集と共有、男女共同参画推進センターや保健所、警察など専門機関との連携なども必要だと指摘しました。
 意思決定過程への女性の参画について尋ねたところ、地域の自主防災組織の女性会長はわずか3%と判明。今後、女性の防災リーダーをどう育成していくのか、所見を問うとともに防災リーダーは男女各1名ずつにするなど女性の声を反映しやすい組織づくりを推進するよう要望しました。