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議会通信 vol.92 2022年 秋号


  • 台風による議会日程変更、代表の議員辞職、議案の追加提案など、波乱の9月議会。私たち福岡市民クラブは、会派一丸となって、取り組みました。

 第4回定例会(9月5日~10月11日)が召集され、一般会計補正予算案、条例の改正、令和3年度決算に関する議案等、全54議案について審議しました。中でも、アイランドシティ地区小学校の新築に関する追加議案について、ご報告いたします。

アイランドシティ地区小学校校舎・講堂・体育館新築工事請負契約の締結について

 今議案は、令和6年4月の開校に向けて小学校校舎棟、講堂兼体育館棟の新築工事の請負契約を締結する議案で、それぞれの工事を請け負う企業体と約32億7千万円の契約を締結するというものです。
 アイランドシティ地区にある既存の2校については児童数が激増し、同地区の居住エリアがさらに拡張されることも踏まえて3校目の小学校を建設することとなりました。

人口減少社会に適した学校の配置を!

議案質疑[10月7日] 田中 たかし(西区)

 アイランドシティ地区の小学校新築に関する議案は、本来9月冒頭に上程されるはずでしたが、請負工事の入札不調により会期途中での議案上程となりました。急激な物価高騰が要因のため、市の工事の予定価格の設定にあたっては、より経済実態に沿うよう要望しました。また、福岡市は2035年以降、人口減少に転じるとされています。長期的な児童数推計は、社会経済状況が不透明なため困難とされていますが、市は今年度より校区ごとの長期推計を行うと明言。当該地では、市と住宅事業者とが綿密に連携し、住宅供給が一定期間に集中することがないことも確認しましたが、将来的には児童数に応じた校舎の他用途への転用も含め、柔軟な対応を求めました。

市施設・学校に弔旗掲揚を求むべからず!

一般質問[9月7日] 落石 俊則(東区)

 岸田首相は、7月22日安倍元首相の「国葬」を9月27日に執り行うことを閣議決定しました。しかし、その基準や法的根拠があいまいなことに加え、元首相と旧統一協会との関係を含め政治的評価は二分しています。亡くなった方への弔意は内心の自由に関わることであり、政府が「国葬」によって賛美・礼賛を国民に強要するべきではありません。世論調査でも「反対、評価しない」が多数を占める結果が相次いでいます。また、民意を代表する国会での議論が行われないまま、政府の一方的な判断で国葬が営まれることは問題です。市長・教育長に対し、記帳所・献花台を設置したり、市施設や学校への弔旗掲揚を求めたりしないよう、強く意見を述べました。

アジアのリーダー都市としての平和行政を

一般質問[9月8日] 成瀬 穫美(南区)

 ロシアのウクライナ侵略をきっかけに、今こそ、アジアのリーダー都市にふさわしい「非核平和都市宣言」を行い、平和に対する市の姿勢を表明するよう求めました。しかしながら、これまでの決議、宣言、基本構想の趣旨に基づき市政運営を行っているとの答弁を繰り返すのみで進展に至らず。一方、博物館のリニューアルが検討されている機会を捉えて多くの市民が平和について学ぶことができる施設の設置を求めたところ、「近現代エリアを含め総合的に検討する」との答弁を得ました。また、あらゆる市民の多様な価値観を反映する市政を運営していくためには、市民参加型政治の実現が必要であることから、シティズンシップ教育の推進を訴えました。

市民の実態に即した今後10年の施策展開を!

一般質問[9月9日] 田中 しんすけ(中央区)

 福岡市は2035年を境に人口減少に転じるとされ、九州の人口減はさらに驚異的なスピードで進みます。これからの30年を見据え、今後10年間で本市が取り組まなければならない5つの視点「強い経済構造への基盤、豊かに暮らす生活支援、脱炭素社会の実現、地域特性を踏まえた都市形成、徹底的な教育投資」について提案し、議論しました。行政は、福岡市の経済指標が示す現状、特に、一人ひとりの市民の暮らしぶりから目を背けるべきではありません。見栄えのよい数字を事実として公表することはよいが、施策の結果として生み出される付加価値、実態を認識した上で、どういった施策を打ち込むのかを検討し、将来の福岡市をつくっていくべきだと考えます。

市議会に対し意見書を提出、可決!

 9月定例会に際し、福岡市民クラブより2点提出。他会派立案の意見書4点ついて審議しました。それぞれの議決結果は、下記の通りです。

【意見書】
内 容 立案者 結果
 地方財政の充実・強化を求める意見書 市民ク 可決
 教育予算の拡充を求める意見書 市民ク 可決
 地方における女性デジタル人材育成の強力な推進を求める意見書 公明党 可決
 緊急承認制度の運用改善を求める意見書 公明党 可決
 中小企業の過剰債務を軽減する仕組みづくりを求める意見書 共産党 否決
 旧統一教会と政治家との関係について調査し宗教法人法に基づく断固とした対応を求める意見書 共産党 否決

※市民ク=福岡市民クラブの略

 令和3年度決算特別委員会開会 [9月20日(火)~10月7日(金)]

 歳入は、前年度に比べ約885億円(7.0%)減となりました。主な要因は特別定額給付金の事業費補助金分の国庫支出金1,181億円が減額となったもの。市税は、固定資産税や都市計画税の増等により、21億円の増の3,432億円となりました。
 歳出は、前年度に比べ約865億円(7.0%)減となりました。目的別にみると、経済観光文化費が2,762億円、保健福祉費が新型コロナ感染症対策費の増等により333億円の増となりました。
 歳入と歳出の差額(約144億円)は、次年度以降の不測の事態に備え、一部を財政調整基金に繰り入れます。

虐待根絶には地域の「おせっかい」が必要!

総会質疑[9月21日] 田中 たかし(西区)

 福岡市の児童虐待相談対応件数は2,685件と過去最高を更新。虐待を根絶するには虐待の未然防止、早期発見、虐待を受けた子どもの保護・自立支援、虐待を起こした親へのサポートまで、切れ目ない施策の充実が必要と訴えました。一方で行政の努力のみでは虐待根絶への取組みにも限界があるため、市民を巻き込んだより緊密な地域との連携が重要となります。地域住民が認知した虐待を通報するだけでなく、日頃からご近所の親子に声かけをするなど積極的に「おせっかい」をやくことで虐待に苦しむ親も子も救うことに繋がると指摘。今後は市民の意識向上のための新たな仕掛けも必要と訴え、「行政と地域が連携した取組みを進める」との答弁を得ました。

パートナーとともにライフプランを考える

総会質疑[9月22日] 山田 ゆみこ(博多区)

 女性やパートナーが健康や今後の生活を考えるきっかけづくりとなるプレコンセプションケア事業が令和3年7月に開始されました。市内在住の30歳を迎える女性10,631人を対象にクーポンが配布され、受診したのは1,576名。その内、85%は好意的で「自分の身体の状態が分かった」「結果を聞いて安心した」という感想が多かったとの事。一方、検査結果を聞いて心に傷を負いショックを受けた方もいると思いますが、その様な方々への配慮や心のケア、さらに、女性特有の病気の早期発見、治療に繋げられる様な取組みを強く要望。スタートしたばかりの事業であり、利用率アップと事業改善、男女ともに検査のチャンス拡大に向け取組んで頂くよう要望いたしました。

子どもたちに安心・安全な学校生活を!

総会質疑[9月26日] 池田 良子(西区)

 留守家庭子ども会の入会要件は、月15日以上働いている家庭となっています。正規・非正規に関わらず、週3日以内で働くパートや育児時短勤務の家庭の子どもは対象外となることから、入会要件の緩和を求めました。教育費総額は年々増加を続け、1,194億800万円余(2017年度)から1,332億1,600万円余(2021年度)にのぼっています。しかし、内訳を見ると、教職員の給与費(約600億円)や ICT教育(約30億円)を除いた教育費は、縮減されていることが分かりました。一人ひとりに寄り添った学習支援としての「ふれあい学び舎事業」の再開、専科教員の配置が可能な教職員の定数増、学校徴収金の保護者負担軽減など、豊かな教育環境を届けるべく教育費の拡充を求めました。

10年間の起業支援政策の効果を検証する!

総会質疑[9月26日] 井上 麻衣(城南区)

 2012年の「スタートアップ都市宣言」から今年で10年。毎年のように起業支援に関連した新規施策や施設整備が実施され、総額22億円以上が使われてきたことを踏まえ、これまでの施策効果について、雇用数や市民の所得、開業率などをもとに、市の見解を質しました。「雇用の拡大や市民生活の質の向上につながっている」「一人当たり雇用者報酬が増加している」など答弁したものの、どれも漠然としており、起業支援の効果と言えるのか関連性も明らかにはなりませんでした。経済政策の中でも、「観光MICE振興」とならんで特に力を入れている事業です。起業数や、施設利用者数だけではなく、起業後の実態調査も含めた政策効果の可視化を求めました。

ファミリー世帯の転出を防ぐ効果的な施策を

総会質疑[10月6日] 近藤 里美(南区)

 令和3年度の市税収入は固定資産税等により約21億円増となりました。福岡市は他県からの転入超過の影響で人口が増え続けており、これは、市税収入にも大きく影響しています。人口動態をみると、15歳以上は転入超過で65歳以上の高齢者は10年前の約2.5倍。一方、0歳~14歳は県内他市町への転出超過がさらに増加し、ファミリー世帯の転出が大きな課題となっています。幼児教育・保育が無償化となった今、福岡都市圏に住みたい子育て世帯の課題は住宅コスト。福岡市に住むことをあきらめないよう、ファミリー世帯の住生活コストを低減させるため、地域課題となっている「空き家」を資源として活用する仕組みづくりや支援策の検討を強く要望しました。

   「みなさまのご参加、ありがとうございました!」     

 9月14日(水)、天神スカイホール(中央区)にて、第11回議会活動報告会を開催しました。本報告会は、一年間の会派の取り組みを広くお伝えするとともに、参加者の皆さまとの意見交換の場として、開催しているものです。
 今回は、「会派基本政策2019」の進捗と課題、来季の活動の指針となる次期会派基本政策の策定に向けた考え方などをお伝えし、皆さまからご意見を頂戴しました。

● 報告会の模様 YouTube
● 当日の配布資料