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議会通信 vol.85 2021年 春号

【令和3年度予算が成立】

 3月26日の福岡市議会本会議において、令和3年度予算が可決されました。
 一般会計は令和2年度を大きく上回る予算規模の1兆545億円(+18.8%)で、特別会計・企業会計と合わせ、総額2兆1,564億円(+11.0%)となりました。昨年12月に実施した「会派予算要望」に対し前進した施策もありますが、引き続き「基本政策」の実現に向けた政策提言ならびに要望を続けてまいります。同時に、令和3年度予算に対して、適正な執行が行われるよう注視していきます。

福岡市民クラブ 一同

第1回定例会(2月17日~3月26日)が召集され、令和2年度補正予算案、ならびに令和3年度予算案の他、条例の改正等、全133議案について審議しました。

  • 福岡市では、国からワクチンが供給され次第、希望される全ての方が安心して接種できるよう準備を進めています。
    1.接種までの流れ
    ①通知の受取:市からワクチン接種に必要な接種券・予診票を送付
    ②事前予約:クリニックへの直接予約・電話予約※・WEB予約
    ③ワクチン接種:接種会場(クリニック等)に行ってワクチン接種を受ける(2回)
    2.接種対象者
    福岡市に住民登録のある16歳以上の方(医療従事者等を除く)約129万人
    ※市内の施設に長期入院・入所中の方、基礎疾患があり市内の主治医の下でワクチンを接種する場合は、住民登録していなくても接種可能です。
    3.接種会場
    ・地域のクリニック (市内 約700 か所)
    ・地域のクリニックを支援する「基幹的な病院」(各区 2か所程度)
    ・集団接種会場 (マリンメッセB館、他は集中時期に順次開設)
    ・出張接種(高齢者施設等へ実施)

  •  私たちは、2度目の緊急事態措置を受けての提言要請や2月議会での議案質疑及び常任委員会審議、3月議会における条例・予算特別委員会分科会審議など、様々な場面でワクチン接種に関する提案・要望を重ねてきました。
     具体的には、早めの情報提供を心掛け、コールセンターを早期に立ち上げること、接種会場は多くの人数の接種が可能な大規模会場を複数確保すること、会場運営は、医療従事者の負担を軽減しつつ、コロナ禍により事業継続が困難になっているイベント会社等を救済する視点も含めて取り組むこと、一般接種が始まった際には民間企業の協力を得て事業所向けの出張接種を計画し、集団接種会場の混雑緩和に努めることなどを提案。国からの具体的な指示が出される中、少しずつ前進しつつあります。

【ワクチン接種コールセンター】
福岡市の新型コロナワクチン接種に関する問い合わせや相談窓口
電話番号:092-260-8405
受付時間:8時30分~17時30分(土日祝も可)
※接種券の受け取り後、電話予約の受付番号となる予定です。

TOPICS

 2度目の緊急事態措置を踏まえた経済対策!

 ● 売上が減少した事業者への支援 専用サイトあり
  対象者:国・県の協力金の支払対象外で、30%~50%以上売上減少した事業者
  支給額:(法人)上限15万円 (個人事業者)上限10万円
  申請期間:3月10日(水)~6月14日(月)
 ● 感染症対応シティ促進事業 専用サイトあり
  対象者:商品販売やサービス提供を行う施設を運営・営業する中小企業・小規模事業者
  支給額:上限 60 万円(内、物品・サービス経費は上限 20 万円)
  申請期間:3月10日(水)~6月30日(水)
 ● プレミアム付き商品券事業
  ・全市版:福岡商工会議所が取り組む市内全域の登録店舗対象の電子版商品券、7月予定
  ・商店街版:令和2年度に引き続き、市内の商店街の発行を支援、随時公表
 ● 宿泊・観光業に対する支援
  ・宿泊施設のポストコロナを見据えた非接触化・非対面化などを支援
  ・仕事と観光的魅力を組み合わせた「ワーケーションプラン」づくり等支援、
   6月頃発売

◆市民税の減収と一般財源の確保
 市税収入は3,166億円で、給与収入や企業収益の減等による市民税の減や中小事業者等に対する固定資産税の軽減措置の影響などにより、▲231億円の減収の見込みです。
 一方で、自治体の基準財政収入額が影響する地方交付税と臨時財政対策債については増額され、昨年度比160億円のプラス(増)となる見込みとなっています。また、国によるコロナウイルス対策の特別交付金の創設分と財政調整基金の活用を合わせて、一般財源の総額については令和2年度を上回る額4,681億円を確保しました。

◆14ヶ月予算
 令和3年度予算については、国の補正予算と連動した、令和2年度2月補正予算と一体的に編成することにより、コロナ禍においても真に必要な施策を積極的に推進する予算編成を実施しました。令和2年度の2月・3月の2カ月と令和3年度の12カ月を総じて「14カ月予算」と称しています。

 社会保障関係費が増加する一方、ワクチン接種にかかる費用を含めた令和2年度2月補正予算と一体的に編成することにより、商工金融資金の預託金の確保(2,483億円)や公共事業費の確保(1,730億円)を通じて、新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受けた地域経済の下支えも含めた予算編成となりました。

◆グラフの見かた
 令和3年度の一般会計予算総額は1兆545億円ですが、歳入の345億円(R3グラフ右端:会派調べ)は、令和2年度補正予算を繰越し3年度に実施する事業費分ですので、歳出予算のグラフは1兆545億円分の歳出予算と総計1兆890億円分のグラフの2種類を掲載しています。

●コロナ:検査・医療提供体制の充実
 ・PCR検査の充実(医療・介護従事者、妊婦、感染流行地域、高齢者)
 ・自宅待機者への健康観察等のフォローアップ
 ・感染症に関する相談体制の強化
●子どもの未来を育む
 ・不妊治療や不育症治療費の助成の拡充
 ・子どもの通院医療費助成を中学生まで拡大
 ・保健師の家庭訪問や親子教室のオンライン化
 ・虐待のリスクを抱える家庭への訪問等の見守り強化
●教育環境の充実
 ・小中学校の特別教室への空調整備
 ・特別支援学校高等部の新設(2校)に着手
 ・全小中学校で35人以下学級実施
●人生100年時代に向けた暮らしやすいまち
 ・オーラルケア28(全世代の歯と口腔の健康づくり)
 ・シニアハローワークの開設とシニアの就労支援
 ・住む人が健康になるまち「Fitness City」の検討開始
 ・重度障がい者に対する支援の拡充

●新しい生活様式への支援
 ・行政手続きのオンライン化の促進
 ・宅配ボックス普及促進(非接触化&再配達防止)
 ・公民館へのWi-Fi環境整備
●安心安全のまちづくり
 ・カラス被害防止対策としての機器の貸し出し
 ・公共施設や公園の手洗い水栓の非接触化
 ・中央区における消防署所(新平尾出張所)の再編整備
●災害に強いまちづくり
 ・消防ヘリコプター「ゆりかもめ」の更新整備に着手
 ・災害時の貯留機能を持った大容量送水管の新設
●福岡市の産業の活性化の取り組み
 ・国際金融機能や外資系金融機関の誘致推進
 ・企業間取引のデジタル化に向けたセミナー開催
 ・ECサイトを先駆的に活用する農家のPR
 ・障がい福祉サービス事業所へのロボット等の導入支援
 ・都市圏の修学旅行等の受け入れによる観光産業の活性化



●文化・芸術・スポーツに親しむまちづくり          ●公園・憩い空間の再整備
 ・音楽都市振興事業(音楽が溢れるまちづくりへ)           ・海づり公園施設の再配置のため基本設計へ
 ・世界水泳選手権2022福岡大会開催に向けた準備            ・志賀島・北﨑エリアの立ち寄りスポットづくり
●環境先進都市に向けた取り組み                 ・動物園のペンギン舎の完成へ
 ・再生可能エネルギー由来電力の利用の啓発              ・油山市民の森&牧場のリニューアル
 ・緑地の保全と「一人一花運動」の取り組み支援           ●公共事業による地域経済の下支え
                                   ・生活道路等の整備・修繕、バリアフリー化の推進
                                   ・市営住宅の建替え・改善の前倒し
                                   ・大規模な公園や市民に身近な公園の再整備


新型コロナウイルス感染症の早期収束とポストコロナを見据えた都市経営戦略を!

代表質疑[3月4日] 宮浦 寛(早良区)

 本市における感染者数の推移をふまえ、これまでの感染防止策の成果と課題、収束に向けた見通し、今後の対策の展開について質しました。市長から「これまで検査・医療提供体制の確保、保健所の強化、市民への積極的な広報などを行ってきた。今後さらなる検査体制の拡充や、県と連携した病床の確保、疫学調査に専念できる保健所体制の整備を進めるとともに、ワクチン接種に向け取り組む」との答弁があり、緊急事態措置が中途半端に終わらないよう、地方自治体としてできうる限りの対策を求めました。また、「会派基本政策2019」を基に、非正規労働者も安心できる労働環境整備、障がい者の就労支援策、再犯防止支援など、61項目にわたり質しました。

一灯点滅式信号機の廃止を糧に!

補足質疑[3月8日] 近藤 里美(南区)

 長年、市民の安全と交通事故の軽減に役立ってきた一灯点滅式信号機の廃止が決定。263基(昨年12月末)あるすべての信号機の廃止には1億円を超える拠出が必要となることがわかりました。一方、当該信号機の廃止や今後は新設されない事実を知らない地域からは今も当該信号機の設置を求める声が挙がっており、大きな政策転換にも関わらず、情報が共有されていないことは重大な課題であることを指摘。赤色方向対策として反射する一時停止標識が設置されますが、黄色方向については、交差点内のカラー舗装や各種路面標示、ゾーン30など、安全性を高めるため積極的に取り組もうとしている地域に寄り添い、個々の交差点に相応しい対策を求めました。

福岡市消防局、平時も有事も万全の体制を!

補足質疑[3月9日] 田中 たかし(西区)

 福岡市消防局では、大規模災害等の有事の際、警察や自衛隊、空港、また必要に応じて近隣自治体との連携をはかる体制が整っていることを確認しました。一方、電柱倒壊や倒木により通行が困難となる懸念があるため、関連部局と情報共有し迅速な現場到着の支障となるものは改善するよう要望しました。平時の活動である防火査察の実施率や自主防災のための防火管理者の選任率を見ると、他都市よりも低くなっており、消防局の現体制では日常の火災予防業務に限界があることを指摘しました。市の予算に占める消防費の割合や所属する職員数も低く抑えられていることから、予算の確保と職員定数の拡大により、予防業務の充実を図るよう強く要望しました。

人権侵害を許さない制度・仕組みを!

総会質疑[3月22日] 池田 良子(西区)

 法改正により2020年6月から、職場におけるパワー・ハラスメント防止対策が強化され防止措置が事業主の義務となりました。一方、本市の教育現場における過去10年間のパワハラ相談は27件あるものの認定件数はゼロ件。ハラスメントが要因で心の健康を害し休職や退職に追い込まれるケースも増えつつあることから、教育委員会外に第三者委員会による公平・公正な調査機関や相談窓口を設置することを提案しました。 「部落差別の解消の推進に関する法律」制定から4年が経過。2019年に福岡県が「差別解消条例」を制定し、県内35の自治体が制定している中、福岡市内に今なお部落差別があることを踏まえ「福岡市部落差別解消条例」の制定を要望しました。

30代女性が妊娠を見つめる機会になる⁉

総会質疑[3月23日] 山田 ゆみこ(博多区)

 令和3年度から「プレコンセプションケア推進事業」が始まります。女性やカップルが自らの生活や健康に向き合う機会とし、将来のライフプランを立てやすくするための事業で、30歳を迎える女性にワンコインで受診ができるクーポンを配布する事業で、血液検査の後、医師から体調管理等に関するアドバイスを受けられるものです。一方、妊娠は女性だけでなく男性へのケアが必要なケースもあることや、31歳以上が対象外であることも課題であり、次年度事業を実施する中で改良できる点については対応されるよう要望しました。加えて、対象者の中には子どもを授かれない体質の方がいることを念頭に置き充分配慮し事業推進を図って頂きたいと要望しました。

地場中小企業の「伴走型」支援を!

総会質疑[3月24日] 井上 麻衣(城南区)

 コロナ禍を踏まえ、中小企業支援のため商工金融資金の融資枠を確保すべく2,482億円の預託金を予算計上しています。融資は一時しのぎに過ぎず、地場中小企業が継続的に成長していくため、仕事を生み出す施策の実施や慢性的な人手不足の業界への人材移行、再挑戦へのサポートなど、融資に止まらない支援を求めました。
 福岡市は起業・創業「スタートアップ支援」を主要施策と位置付けているものの、市内の起業数や廃業数の実態を把握できていません。施策の評価ができていない点を指摘し、起業から一定の軌道に乗るまでのフォローに繋げるべく、補助金や各種減免など直接市が支援した企業においては、創業後の数年間の状況を把握すべきと訴えました。

コロナ禍を乗り越えるためあらゆる支援を!

討論[3月26日] 田中 しんすけ(中央区)

 令和3年度の予算審議にあたり、会派が主張する「福岡市のめざすべき都市像」について、①生活保障(一人ひとりの命と幸せを大切にする社会)、②成長(人と技術の結びつきが新たな価値を生み出す創造都市)、③地域主権(市民が自ら発言し議論し決定する仕組みづくり)、④共生(一人ひとりの生命と尊厳を守り誰もが安心できる共生社会)という4つの視点から様々な政策提案を行ないました。
 とりわけ、今議会ではコロナ禍を乗り越えるための感染防止と経済対策の強化を訴えるとともに、市民が安心してワクチンを接種できる環境づくりや、今後の感染拡大に備えた財源確保と予算執行のあり方について提案しました。