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議会通信 vol.81 2020年 春号

【令和2年度予算が成立】
 3月25日の福岡市議会本会議において、令和2年度予算案が可決しました。
 昨年12月に実施した「会派予算要望」に対し前進した施策もありますが、引き続き「基本政策」の実現に向けた政策提言ならびに要望を続けてまいります。同時に、令和2年度予算に対して、適正な執行が行われるよう注視していきます。

福岡市民クラブ 一同

第1回定例会(2月17日~3月25日)が召集され、令和元年度補正予算案、ならびに令和2年度予算案の他、条例の改正等、全113議案について審議しました。


 一般会計は元年度を上回る予算規模の8,875億円(+2.4%)で、特別会計・企業会計と合わせ、総額1兆9,428億円(+1.0%)となりました。市税収入は3,397億円(+39億円)で、納税義務者数の増や新増築家屋の影響等による固定資産税の増などにより引き続き過去最高を更新する見込み。
 歳出については、社会保障関係費が増加する一方、教育費(+96億円)やこども育成費(+57億円)の充実をはかるとともに、災害に強いまちづくりや文化・コミュニティ施設整備についても予算を増額しました。


 市議会では、感染症拡大の防止に直接対応する基礎自治体として、現場業務を最優先し、市民への不安軽減と危機管理の具体施策に取り組むためにも、令和2年度予算の審議という重要議会ではありますが、7日間の会期短縮に踏み切りました。

実際に提出した申し入れ書 3月2日から各種学校を臨時休業するとの政府要請と市の発表を受け、保護者の不安を一刻も早く解消するとともに、子どもの安全確保のため、2月28日、「新型コロナウイルス感染症対策にかかる学校等の臨時休業に関する申し入れ書」を提出し、保護者に過度な負担が生じないような措置や留守家庭子ども会の受け入れ拡充、子どもたちの未修分の対策等について要望しました。


 議員提案にて可決した「福岡市観光振興条例」に基づき、本市経済の健全な発展と市民生活の向上に寄与すべく、観光振興に関する施策の総合的かつ効果的な推進と、そのために必要な財源としての「宿泊税」の徴収がスタートします。
 当初予算における宿泊税収は、市内宿泊施設の客室数、稼働率等を基に、約18億円を見込んでいます。この税収を充当する事業については、①九州のゲートウェイとしての都市機能の強化、②大型MICE等の集客拡大、③地域や市民生活との調和した持続可能な観光振興の3つの柱で計画しており、その中から主な事業を報告します。(右表参照)
 なお、特別徴収義務者であるホテル・旅館業等に対し、本来は当月徴収分を翌月末までに納入するルールであるところ、新型コロナウイルスの影響を踏まえた特例として、4月分は6月末までとする緩和措置がとられました。


【宿泊税を充当する事業の概要】      (単位:百万円)
【九州ゲートウェイ都市機能強化】
 ・マリンメッセ福岡B館整備(費用の一部負担)
 ・観光地周辺へのデジタルサイネージ設置
 ・Fukuoka City Wi-Fiの拡充
 ・スタッフが出向く移動式案内等の観光案内機能の強化
 ・デジタルマーケティングを活用した回遊分析  など
 973 
【大型MICE等の集客拡大への対応】
 ・魅力あるナイトコンテンツの創出(福岡市美術館など)
 ・国際スポーツ大会に合わせた受入環境の充実
 ・繁華街の悪質客引き対策
 ・歴史や文化財を活かした観光資源の創出  など
 346 
【地域や市民生活と調和した持続可能な観光振興の推進】
 ・健全な民泊の普及推進
 ・宿泊事業者受け入れ環境の充実
 ・志賀島や北崎の海辺を活かした観光振興
 ・公園等の公衆トイレ環境の向上
 ・観光地におけるマナー啓発・受入改善  など
 411 
【宿泊税の徴収に要する経費】  69 


新型コロナウイルスの「潜在的な影響」に注意を払い、常に先手の対策を!

代表質疑[3月10日] 田中 しんすけ(中央区)

 とりわけ本年の議会審議にあたっては、新型コロナウイルスの全国的な感染拡大が、今後本市に様々な影響を及ぼすであろうことを想定して、常に先手を打っていく姿勢が求められています。市立学校の一斉休業に伴う児童生徒や保護者の負担増、博多港における外国定期航路の船舶乗降人員数の激減など、既にマイナスの影響が顕在化している点についてはもちろん、今後本市に影響を与えるであろう「潜在的な部分」、「我々が予測もしなかったような影響」にも強く注意を払う必要があります。また、経済活動の縮小に伴い、宿泊税の徴収額が見込み通りの金額になるのか、その税収に裏付けられた多くの事業が全て実施できるのかなど、論点は多岐にわたります。
 私たち福岡市民クラブはこのような事態を前に、国策・政策の副作用が今後の市民生活へどれだけの影響を及ぼすのか、そのことに敏感になり、いち早くその対策を提起するとともに、市民生活の安定に向けて機敏に的確に行動を起こしていく決意です。

子ども、障がい者が安心して暮らせるまちを!

補足質疑[3月12日] 池田 良子(西区)

 障がい者差別解消条例の施行から1年が経過しました。条例の浸透を図るために何をしてきたのか質し、実効ある条例とするために「合理的配慮の提供」など条例に基づく施策を講じる予算の確保を求めました。
 近年、子育て疲れや不安、病気などで一時的に養育できなくなった子どもを数日間預かる「子どもショートステイ」のニーズが高まっています。西区では、転校することなく住み慣れた地域で預かる「校区里親」を行っており、こうした里親を活用したショートステイの市内全域への拡充を求めました。
 教職員の長時間労働は、今や社会問題になっており、働き方の改善が求められています。改正「給特法」の施行により、2020年4月から在校時間に上限が設けられました。時間外勤務の上限は月45時間、年360時間以内となりますが、絵にかいた餅にならないように、また、在校時間の厳守に注力するあまり持ち帰り業務が常態化しないよう、業務改善や条件整備を求めました。

保育士の負担軽減のため配置基準の改善求む

総会質疑[3月23日] ついちはら 陽子(東区)

 福岡市の待機児童は133人(元年12/1現在)となっており、未だに解消されていません。待機児童の解消に向けた最優先課題は保育士確保となっており、保育の質を保ちつつ保育士を確保するためには、保育士の負担軽減が必要だと考え、配置基準の見直しを検討すべきと訴えました。他都市では、国の配置基準に対して、上乗せしている例もあるようです。福岡市は、クラスの児童数が増える1歳・3歳児を対象に、子どもたちが慣れるまでの年度当初の70日間、保育士を加配するための費用を助成していますが、保育士不足の今、継続して勤務できるよう加配期間の延長を求めました。
 また、日頃は短期的に保育が必要な場合を中心に活用されているベビーシッターですが、3月の新型コロナウィルス感染症対策として実施した学校休業の際には緊急対応として広く活用されました。こうした事例も踏まえ、困った時にはベビーシッターの利用もしやすくなるよう、本市独自の利用支援の拡充を求めました。

第4次男女共同参画基本計画に進化を求む!

総会質疑[3月23日] 成瀬 穫美(南区)

 令和2年度、第4次男女共同参画基本計画が策定時期を迎えます。策定を目前にした今、第3次計画の成果と課題を整理した上で新しい課題を洗い出し、今後の計画にどう結び付けていくのかを質しました。学校教育では、自己形成過程における若年層の男女平等教育を行う時間が不足、就労場面では、非正規雇用の増大に伴って生きづらさ、働きづらさを抱える女性からの相談が増加、地域の男女共同参画への取り組みについては、進行を阻んでいる根強い背景が残っており、各分野への今後の取り組みの強化・徹底を提言しました。
 第3次計画が策定されて以降、国や県でも男女共同参画に関する法律や条例の制定が相次ぎ、制度は整いつつあります。しかし、日本はジェンダーギャップ指数が153か国中121位家族観の変化やSDGs達成に向けた世界的な潮流など、社会情勢の変化に対応した男女共同参画の取り組みについて提起し、福岡市の重要施策と位置付けるよう強く要望しました。

市独自の緊急経済・雇用対策強化を!

討論[3月25日] 落石 俊則(東区)

 新型コロナウイルス感染症の影響により、宿泊施設や飲食業等を含む多くの分野で、地場中小企業や個人事業主にも深刻な事態が及んでいます。国の金融支援はもちろんのこと、市独自の緊急経済・雇用対策を強化し、併せて働く者の相談体制を講じるよう要望しました。
 本年度より宿泊税を活用した「観光・MICE推進プログラム」事業が始まります。しかし、訪日観光客の激減や各種イベントの自粛等、経済活動の縮小により宿泊税の徴収額が大幅に下回ることも懸念されることから、事業実施にあたっては市民生活やホテル・宿泊業者に配慮した施策を優先することを求めました。
 自衛官募集事務に係る個人情報の提供について、個人情報保護審議会は「自己の情報提供を望まない人に適切な措置を執ること」と市に答申。今後の自衛隊への名簿提供に際し、当該18歳・22歳の若者への周知について、単に市政だよりやHPだけではなく、本人に確実に届く具体的な措置を要望しました。