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議会通信 vol.68 2016年 秋号


9月6日、福岡市役所議会棟7階会議室において、第5回議会報告会を開催しました。
130名を超える市民の皆さまにお集まりいただき、「会派基本政策2015」の進捗をはじめ、会派の取り組みについてご報告させていただきました。
報告会にて頂いた多くのご意見、ご質問は、今後の取り組みに活かして参ります。


福岡市議会9月定例会(9月9日~20日)が召集され、「福岡市旅館業法施行条例の一部を改正する条例案」などの条例案2議案、補正予算案6議案など、全53議案が提案されました。
この内25議案は平成27年度決算関連の議案で、決算特別委員会(10月5日~21日)に付託されました。 LinkIcon

健全な「民泊サービス」の提供に向けて!

議案質疑[9月9日] 田中 しんすけ(中央区)

 旅館業法が改正されたことに伴い、住宅の全部または一部を活用して宿泊サービスを提供する、いわゆる「民泊サービス」の実施を可能にする条例改正案が提案されました。私たちは改正に賛成の立場でありながらも、今後の具体的な取り組みの中で「地域住民と民泊事業者(や宿泊客)との間のトラブルをどれだけ未然に防ぐか?」という点を重視し、①民泊施設開設の事前周知の徹底、②帳場(フロント)を設置しない施設に対する緊急時対応体制の確保、③悪質な民泊事業者に対する取り締まりの強化、④民泊に関する市民相談窓口の設置、の4点を要望しました。
 これに対して本市は、「民泊事業者に対して、あらかじめ近隣住民などへ営業を開始する旨や緊急時の連絡先を周知すること等を徹底するよう指導するとともに、悪質な事業者には警察と連携しながら対応する。また、区役所と連携しながら地域団体への(民泊施設に関する)情報提供にも努める」と答弁しました。

公民館の館長 選考方法の見直しを!

一般質問[9月12日] 太田 英二(城南区)

 公民館長の選考方法について、公民館嘱託館長候補者推薦委員会資料を見ると、推薦委員の選抜基準はなく各自治協の判断となっており、地域内の一部の委員に選ばれる仕組みとなっています。多くの校区ではバランスよく委員を選定し運営されているようですが、そのバランスが崩れた場合、地域の活動に大きな支障を来たすことが発生しているようです。
 公民館長が一部の特定の委員によって決定されることに異議を唱え、校区の活動から離れてしまうケースがその一つ。校区活動の担い手不足をどのように解消していくかが課題とされる中、公民館長の選任が引き金となって市民が地域活動から離れてしまうことはあってはならない。選考方法が曖昧な仕組みで行われていることが原因の一つであると思われます。今後、地域活動の拠点である公民館が、自治協を中心とする市民と更なる連携・協力体制を確立できるよう、公民館長の選考方法を見直すべきであると提言しました。

財源を確保し、教職員定数の維持拡大を求む!

一般質問[9月13日] 阿部 正剛(東区)

 小中学校の教職員について、福岡市など指定都市が任命権を持ち、福岡県など道府県が給与等の負担や教職員定数等に係る権限を持つという制度上のねじれが生じていました。これを平成26年6月の法改正により、教職員に係る給与等の負担、定数の決定、学級編成に係る権限等を道府県から政令指定都市へ移譲することとなりました。
 平成29年4月施行のこの改正は、福岡市にとって権限移譲と併せて大きな財政負担も生じることから、財源を理由とした教育環境の後退は許されないことを指摘しました。教育長からは「新しいふくおかの教育計画」に基づき、小人数学級(全小学校4年生まで、選択した中学校の1年生)を始めとする現行の教育実践体制の継続や、教育の機会均等と教育水準の維持向上のため教職員定数の確保は極めて重要であるとの認識が示され、適切な財源の確保に向けて財政局と連携しつつ引き続き国に要望していくとの答弁を引き出しました。

教職員の超過勤務・多忙化解消に向けて!

一般質問[9月14日] 落石 俊則(東区)

 2014年経済協力開発機構(OECD)公表の国際教員指導環境調査では、日本の教員の世界一忙しい勤務実態が浮き彫りになりました。これは、福岡市教育委員会実施の「2014年度市立学校教諭等の勤務実態調査」にも表れており、教員が子どもと向き合う時間を確保するためにも業務の見直しや部活動における負担の軽減と合わせて、教育委員会による支援体制の強化が必要です。そこで、現在策定中の「教職員の業務改善のためのガイドライン」を実効性あるものにするため、モデル校を設置し検証すべきと要望し、「ガイドラインをホームページに掲載する等、積極的な情報発信と検証を行うとともに、生徒のスポーツ障害の予防や教員の負担軽減の観点から部活動指導の適正な運営を図る」との答弁を得ました。
 また、学校現場では常勤・非常勤講師等の臨時的任用教職員が多数勤務しています。賃金処遇改善と併せ、正規率の改善についても具体的な計画をもって向上をはかるよう要望しました。

 平成27年度決算について、一般会計に関する概要についてご報告いたします。
 歳入全体をみると、前年度に比べ78億円(1%)増となりました。市税収入の約20億円増加と各種交付金の増により一般財源が増加したところが特徴です。
 歳出総額は、前年度に比べ56億円(0.7%)の増となりました。目的別にみると、保健福祉費が39億円の増、こども育成費が35億円の増えた一方で、総務費や土木費が減少しているところが特徴です。

発災直後の徒歩帰宅や一時退避支援の強化を!

総会質疑[10月6日] 近藤 里美(南区)

 平成17年の「福岡県西方沖地震」の発災以来、福岡市は公共施設の耐震化に取り組んでおり、平成27年度末時点での進捗状況を確認しました。学校や区役所、医療施設などの公共建築物は99.5%、公共土木構造物(橋梁、上下水道、地下鉄等)は76%が耐震化済みとなっています。地下部分の改修が必要な上下水道を中心に時間を要する事業はあるものの、大地震に対して受け止められる体制が整いつつあります。
 一方、天神・博多駅地区は福岡市内外から連日多くの方が訪れますが、警固断層南東部地震が発生し公共交通が途絶えると、中心街に多くの帰宅困難者があふれることが容易に予想できます。物理的に帰宅することができない寄る辺のない帰宅困難者に対しては、退避施設の準備が必要となります。福岡市民155万人のみならず多くの生命を守るため、地域防災計画の見直しに際し、帰宅困難者の退避施設の確保や徒歩帰宅者への支援の強化も合わせて、強く要望しました。

全国5位の大都市に相応しい内実や風格を求む!

総会質疑[10月7日] 栃木 義博(早良区)

 次の3点について、今後の施策方針に係る回答を得ました。
①銀杏(ぎんなん)の悪臭など街路樹の苦情対策と風格のある並木道づくりについて、福岡市は銀杏の落下量を減らすため、樹形を維持したままで大きな枝を間引くような手法を、今冬季の剪定時期に本格実施する。さらに市民や企業等と連携し、並木を守り育てて、愛される風格ある並木道を後世に引き継ぐと強調しました。②ベンチの配置等による憩いと寛ぎのある都心づくりについて、市はユニバーサル都市・福岡を推進する観点から、誰もが気軽に安心して外出できる環境づくりを進めるため、ベンチなどの休憩施設の設置を都心部も含めて進めていくと応じました。③建築物の省エネ改修と温室効果ガス削減の取り組みについては、全排出量に占める家庭部門の排出割合が福岡市は全国の2倍。既存住宅の省エネ改修を進めるため補助制度など支援のあり方を検討していると、市は表明しました。

第一次産業の成長へ、予算の選択と集中を!

総会質疑[10月20日] 江藤 博美(西区)

 福岡市の歳出変動の特徴は、この20年間でみると農林水産業事業費だけが最も低い位置で一貫して減額されてきています。福岡市は就業者数も生産高も9割が第3次産業で占められています。近年では内外からの観光客が急増し、コンベンションの開催数が東京に次いで高く、そのためのハード整備を優先事項にしようとしています。また、大型公共施設の建て替えやIoTなどの新産業支援に傾斜しがちな予算配分に警鐘を鳴らしました。
 福岡市は、豊かな海と山の自然環境に恵まれ適度に集中した都市「コンパクトシティ」が世界的なブランドになっています。95%の市民が住み続けたいという評価は代えがたいものです。この福岡市固有のコンパクトに自然環境が整う都市機能をさらに活かすために、福岡市は農林水産業の再生・復活をめざす根本対策にいち早く取り組むべきではないか、「地域資源を活用して“第一次産業を成長産業”へ押し上げる、予算へ選択と集中を!」と当局へ強く迫りました。