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議会通信 vol.74 2018年 春号


【平成30年度予算が成立】
 3月28日の福岡市議会本会議において、平成30年度予算案が可決しました。
 昨年末実施した「会派予算要望」に対し前進した施策もありますが、引き続き「基本政策」の実現に向けた政策提言ならびに要望を続けてまいります。同時に、平成30年度予算に対して、適正な執行が行われるよう注視していきます。

福岡市民クラブ 一同


 第1回定例会(2月19日~3月28日)が召集され、平成29年度補正予算案、ならびに平成30年度予算案の他、条例の改正等、全109議案について審議しました。

平成30年度予算 ※( )内は前年度との比較

 一般会計は29年度を上回る予算規模の8,388億円(+0.7%)で、特別会計・企業会計と合わせ、総額1兆8,765億円(▲1.0%)となりました。市税収入は3,191億円(+357億円)で、税率変更の影響や納税義務者数の増などにより過去最高を更新する見込み。市債残高についても着実に縮減していく計画。
 歳出については、社会保障関係費が増加する一方、こども育成費(+67億円)や教育費(+64億円)の充実をはかり、福岡市の玄関口である福岡空港・博多港の整備改修についても予算を増額しました。

 福岡市では、人生100年時代を見据え、誰もが心身ともに健康で自分らしく生きていける個人の幸せと、持続可能な社会を両立できる健寿社会のモデルをつくるため、産学官民“オール福岡”で推進するプロジェクト「福岡100」をはじめ、様々な健康寿命の延伸施策に取り組んでいます。ここで、平成30年度予算における新規・拡充事業についてご紹介します。

【 認知症フレンドリーシティ・プロジェクト 】

  • 認知症コミュニケーションケア技法「ユマニチュード」の普及推進
  • 認知症カフェの設置促進 ( 開設・運営費の一部補助 )

【 健康寿命の延伸 】

  • がん検診受診強化事業:胃がんリスク検査(ピロリ菌検査)の導入
  • みらいの健康リスク診断事業
  • アクティブシニアの創業・就業支援
  • 適正服薬の推進(薬の重複服用による副作用予防)


 福岡市議会では、平成30年度からの新たな取り組みとして「福岡市議会社会科特別授業」を実施します。選挙権年齢の引き下げ等に伴ない、市議会の役割や仕組みを知ってもらい、議会制民主主義・地方自治などの理解の促進、政治・議員の仕事への関心を高めることを目的として実施します。対象は福岡市立小学校6年生で、実際の授業には市議会議員の中から選抜メンバーが参加し、会場は本会議場や委員会室で行ないます。参加した子どもたちにとって、忘れがたい良い経験となるよう、私たちもしっかりとつとめたいと思います。

 今回の特別授業は、超党派による「社会科特別授業実行委員会」(委員長 田中しんすけ議員)を設置し、議論を重ね、ようやく開催する運びとなりました。平成30年度は3校程度の募集となりますが、応募状況や実施結果を踏まえて受入校の拡大にも積極的に取り組みたいと考えています。福岡市議会の今後の取り組みにもご期待ください。


会派基本政策の前進へ、市長に問う!

代表質問[3月5日] 太田 英二(城南区)

 平成30年度当初予算案に関連し、本市が目指す都市像について高島市長の所見を伺い、私たちが描く会派基本政策2015における生活保障戦略・成長戦略・地域主権戦略の3つの柱から本市のまちづくりについて、質問・提案を行ないました。
 災害に備えた「福岡市地域防災計画の恒常的見直し」、就学前教育の充実に向け「保・幼・小・連携」と「保育所整備と質の確保」「保育環境の充実」、安心と安らぎの高齢社会に向けて「地域包括ケアシステム構築」と「認知症サポーター養成」、安心できる労働環境整備への「創業・雇用創出特区における労働者に不利益な施策の禁止」、商店街に対する支援策、教育環境整備として「夜間中学の設置」「教師のこどもに向き合う時間の確保」、市民の声をより反映すべく「市民参加型の行政改革会議設置」「区役所サービスの向上」平和の尊さを後世に受け継ぐ「平和祈念施設整備」など3戦略73項目143施策の中から抜粋し質問しました。

非正規職員のモチベーションアップ施策を求む!

補足質疑[3月7日] 池田 良子(西区)

 教職員を除いた福岡市職員の総数は13,042人で、その内、非正規職員(嘱託員、臨時的任用職員)は3,637人と約28%を占めています。非正規職員は補助的な役割ではなく、今や公共サービスの基幹的業務を担う存在であることから、非正規職員のモチベーションが上がるような働き方改革として、非正規職員の正規化への緩和、スキルアップのための研修の機会の確保等を要望しました。また、「会計年度任用職員制度」の2020年施行に向け、非常勤職員の働き方が低下することがないよう求めました。
 「福岡市子どもの生活状況等に関する調査」や福岡教育大学川口俊明准教授の研究チームによる学力変化の調査で、学力格差は就学前から起きており、家庭生活習慣や学習時間等と成績に相関関係がみられることがわかりました。生活支援の観点から保幼小連携の在り方を、「授業で一人も見過ごさない」ために、少人数学級の拡大や低学年での学習支援の強化などを求めました。

“都市の成長と生活の質の向上”バランスは!?

補足質疑[3月8日] 江藤 博美(西区)

 福岡市は、都市の成長の骨太施策に天神ビッグバン(天神都心部の高さ規制緩和等機能更新)・ウォーターフロントネクスト(博多港周辺の再整備)・フクオカ スマートイースト(九大箱崎キャンパス跡地のまちづくり)を新たに掲げ、これらの成長の果実が生活の質の向上に回るよう好循環をつくるとしています。しかし、これらの総事業費が示されない中、私たちはその事業効果を現段階で推し量りようがなく、ましてや生活の質の向上が現れる地域コミュニティ支援策への好循環をどうつくるのか具体的な成果を求めることさえできないのです。
 一方、福岡市が示す平成29年6月策定の財政運営プランでは、「本市の財政運営は依然として楽観できる状態にない」とされ、都市の成長を標榜する大規模事業への過度な投資が市民の生活の質の低下に直結しかねないことから、きちんと検証する議会機能の発揮が私たちに求められています。

管理規約で民泊禁止に/複層ガラス窓の促進

総会質疑[3月22日] 栃木 義博(早良区)

 すべての住宅で民泊事業を営むことのできる住宅宿泊事業法(民泊新法)が本年6月15日に施行します。民泊利用者による騒音やごみの散乱などを危惧する住民の声が報道で紹介されていますが、分譲マンションでは管理規約の改正で民泊を禁止できることについて質しました。市は「マンション管理組合に周知徹底するとともに、民泊事業開始後の対応についても福岡県と連携し管理組合への丁寧な支援をおこなっていく」と約束しました。
 環境局は、本年度から住宅窓の複層ガラスなどへの改修促進のために、「暮らし安心・適応リノベーション促進事業」に取り組みます。熱中症やヒートショックなどの健康リスクを低減し、気候変動の影響の回避にもつながるもの。複層ガラス窓などの改修を経験した市民による「モニター制度」を実施し、経済効果や快適性などのデータとニーズを蓄積するとしており、補助制度の創設など次年度以降の施策展開を検討すると答えました。

福岡市こそ、世界に誇れる美味しい街に!!

総会質疑[3月23日] 近藤 里美(南区)

 福岡市の「食」は「安くておいしい」と高い評価を得ていますが、有名レストランガイドの影響からか、東京が「世界で一番美味しい都市」と言われているとのこと。現在、市内の食関連産業の従事者は約16万人にのぼり、平成24年からの2年間で新規事業所が約4,000件増加するなど、福岡市の経済にとって「食」は大きな柱となっています。
 市内産の農水産品のブランド化などを通じた食材・素材の魅力アップをはじめ、スポーツや国際会議などをきっかけとした福岡の「食」を高める施策、「食」関連の学会やビッグイベントの積極的な誘致など、食関連産業の従事者と、参加する市民の双方にメリットのある取り組みが重要です。加えて今後は、世界に誇れる「美味しい街ふくおか」をめざし、姉妹都市であるボルドー市とのワインと食の共同事業の推進や、大学・専門学校・高校との連携を通じた「食」に携わる人材育成も含め、様々な角度からの「食」を高める取り組みを要望しました。

「生活の質の向上」のための「成長」を!

議案討論[3月28日] 田中 しんすけ(中央区)

 今回の予算案の特徴として、天神・博多の都心部を軸に、ウォーターフロント地区の再開発、九大箱崎キャンパス跡地のまちづくりなど「官民による大規模再開発プロジェクト」が矢継ぎ早に提案されたことが挙げられます。これら事業への過度な支出が市民生活の質を低下させることが無いよう強く要望しました。
 今議会では、各局にまたがる分野について具体的な政策提案を行なったことも特徴の一つです。公共建築物の木造・木質化については、その促進に向けたガイドライン作りのため、林業を所管する農林水産局のみならず、建築法規を所管する住宅都市局や技術監理を行なう財政局とも横断的に協議を行なうよう求めました。また、食を生かしたまちづくりについては、世界に誇れる「美味しい街ふくおか」という新たなコンセプトを提示。食の分野を本市の重要な政策の柱と位置付けて、食材生産や調理・料理に関する人材育成、食をテーマにしたコンベンションの誘致など、全庁的な取り組みを要望しました。