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議会通信 vol.70 2017年 春号


【平成29年度予算が成立】
 3月28日の福岡市議会本会議において、平成29年度予算案が可決しました。
 昨年末実施した「会派予算要望」に対し前進した施策もありますが、引き続き「基本政策」の実現に向けた政策提言ならびに要望を続けてまいります。 同時に、平成29年度予算に対して、適正な執行が行われるよう注視していきます。

福岡市民クラブ 一同


 第1回定例会(2月20日~3月28日)が召集され、平成28年度補正予算案、ならびに平成29年度予算案の他、条例の改正等、全107議案について審議しました。

平成29年度予算 ※( )内は前年度との比較

 小中学校の教職員の権限移譲などにより、一般会計は28年度を上回る予算規模の8,327億円(+6.2%)で、特別会計・企業会計と合わせ、総額1兆8,954億円(+0.6%)となりました。市税収入は2,834億円(+38億円)で過去最高の見込みで、市債残高についても着実に縮減していく計画。
 歳出については、社会保障関係費が増加している一方、こども育成費(+33億円)や災害に強いまちづくりに向けた消防費(+56億円)の充実をはかっています。


 福岡空港の民間委託に伴い発足する運営会社への出資を義務付ける「活力ある福岡空港づくり基金条例案(空港出資基金条例案)」が、福岡市民クラブによる修正を経て可決されました。

政調会長 田中 しんすけ(中央区)

 今回の福岡空港への関与を巡る議論は、本市が「(福岡空港の民間委託に伴い発足する)空港運営会社への出資を行なわない」と2月議会の場で表明したところから本格化しました。これに対してわが会派は、新空港運営会社は、滑走路の管理運営や路線誘致も担うものであり、「本市にとって重要な公共インフラである福岡空港には、出資を含めたあらゆる関与が必要である」と主張。その後、『福岡空港の運営に関する出資についての決議』が市議会の7割の支持を得て可決されたにもかかわらず、その直後に市長が「出資するつもりはない」旨を表明したことから、3月議会において自民党市議団から『空港出資基金条例案』が議員提案される事態となりました。
 この議員提案条例に対する修正を提起したわが会派は、議会最終日の討論において、「新たな空港運営会社に対する出資と取締役の派遣を実現するために、本修正案可決後に直ちに国・県との協議を再開すべき」と要望するとともに、「ここまで議論が紛糾したのは、そもそも市長の『度が過ぎる議会軽視』が原因である」と厳しく指摘しました。

シニアを支える若者・現役世代へのサポート充実を!

代表質問[3月6日] 阿部 正剛 (東区)

 福岡市は、人口増加と併せ企業誘致が進み、緩やかな景気回復感から雇用環境も改善、市税収入は3年連続で過去最高を更新するなど、元気なまち、住みやすいまちとして高い評価を受けていますが、現役世代の特に若い世代の人口減少が始まっていること、非正規雇用が全国平均を上回っていることなどの課題を指摘した上で、雇用の正規化や少子化対策、子育て支援、教育環境の充実など、様々な点から「現役世代に対するサポートを充実する必要がある」と、市長の見解を質しました。
 また、会派基本政策の「暮らしの充実、まちの成長、住民自治」の3つの基本戦略を踏まえ、暮らしの充実のための財源を、成長戦略で新たに生み出し、市民の声を反映させる仕組みのもとでその財源を分配していくという都市経営の考えに基づき、MICEの推進、一人ひとりに優しい福祉のまちづくりや健康寿命の延伸、高齢者や障がい者などの要配慮者に対する避難支援対策などの充実を求めました。

若者の能力発揮に向け正規雇用支援を!

補足質疑[3月8日] 落石 俊則 (東区)

 雇用、所得の拡大を含む経済の好循環を実現するには、若者が能力を発揮できる場を創出するとともに、正社員での就職を増やしていく施策が不可欠です。総務省調査によれば、正社員としての雇用を望みながら、やむを得ず非正規雇用者として働いている、25歳から34歳の「不本意非正規雇用者」の割合は約24.4%にも達しています。本市では、25歳から34歳までの若者層の非正規雇用者数は、2007年48,000人から2012年56,500人へと大きく増加しており、正規雇用への転換を図る施策が急務です。
 そこで、各区役所での就労相談窓口事業のさらなる充実が必要不可欠であると指摘し、「キャリアコンサルタントや就職開拓員を配置し、正社員就職支援事業を実施し、就職率を45%以上とする」との回答を得ました。非正規雇用の期間が長ければ長いほど、正社員への転換は難しくなります。事業の周知を図るとともに、人材不足に悩む地場中小企業とのマッチング強化を図るよう要望しました。

行政・財政運営の両プランは、市職員や市民の負担ばかりか !?

補足質疑[3月9日] 近藤 里美 (南区)

 平成29年度から4年間の政策推進プランと合わせ、行政運営プラン・財政運営プランの策定を進めており、パブリックコメントの後、6月成案の予定です。行政・財政運営の両プランには、人件費の抑制や行政運営の効率化、行政サービスの再構築など、市職員や市民にとって負担を増すばかりに見える言葉が散見されます。この点について、副市長から「市民や市職員の負担を増やすことを目的とするものではなく,将来にわたり持続可能な市政運営をめざすことにより,市民にとってより住みやすいまちづくりを進めていくもの」との答弁を得ました。
 国民健康保険法の改正に伴ない、平成30年度より福岡県が新たに保険者となり、県内の国保財政を一括管理することとなります。今改正により、現在の福岡市の国保の運営面については特段の変更はないとのこと。この機をとらえ、医療費軽減に向けた県全体の取り組みを福岡市が中心となって役割を果たすよう要望しました。

防災・福祉の地域課題を担う住民自治活動の支援を!

総会質疑[3月22日] 江藤 博美 (西区)

 地域における防災・危機管理や超高齢社会を見据えた地域包括ケアシステムなど、地域の重要課題は山積しています。誰もがいつまでも安心して暮らせる地域の環境整備は、防災に耐え得るハード面と合わせて、住民一人一人が支えあう自助・共助によるコミュニティの力が問われています。
 また、高齢者が在宅で暮らせるようなサポートとして、住民と共に医療と介護の専門家がいつでも連携できるネットワークとスペースの存在が欠かせません。地域コミュニティが福祉コミュニティの機能と防災機能を併せ持つには、いずれの事業にも住民自治組織、自治会・町内会の存在が核となります。住民自治活動の支援をより強固にするための自治会・町内会をきちんと評価する制度設計を強く求めました。市民局長は「地域で顔の見える関係作り」で事業に取り組むには「自治協議会とともに自治会・町内会も非常に大切だ」と答え「今後も様々な角度から検討していく」決意を示しました。

防犯灯で明るい街に/効果みえる温暖化対策を

総会質疑[3月23日] 栃木 義博 (早良区)

 福岡市の防犯灯・直営灯の設置状況は、単位可住地面積の合計基数でみると、20政令市中11番目で、他都市に比べ「薄暗い都市」という意外な事実が質疑でわかりました。
本市照明灯の5割強を占める生活道路の防犯灯は地域に支えられており、維持管理の負担が危惧されます。福岡市が防犯灯設置の隠れた地域要望を丁寧に拾いあげて「薄暗い都市」から脱却するよう求めました。
 地球規模で進む気候変動は、温室効果ガスによる温暖化が主因であることは疑いようのない事実。ここ10年間の温室効果ガス排出量を見ると、全国では減少していますが、福岡市は家庭、業務部門を中心に27%以上増加しました。本市の温室効果ガス削減目標は28%ですが、現状の施策では困難な状況です。家庭部門の排出量削減の切り札である「省エネ住宅への改修補助制度」の導入、業務ビルへの「地域エネルギー供給システムの構築」など、福岡市の大胆な施策展開を急ぐよう訴えました。