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議会通信 vol.69 2017年 新春号


《年頭にあたり》
謹んで新春のお慶びを申し上げます。昨年は、熊本地震をはじめ大きな事件・事故が相次ぎ、暮らしの安心・安全への要望がさらに高まっています。伸び行く福岡市の成長を豊かな暮らしと地域の活性化につなげていくため、2017年も気を引き締めて職責にあたって参ります。

福岡市民クラブ 一同


 平成28年 第5回定例会開催

 第5回定例会(12月14日〜22日)が招集され、条例の改正等9議案、補正予算13議案などの56議案が執行部から提案され、審議の上、全議案可決しました。
 また、議員提出議案として、「福岡市空家等の適切な管理に関する条例」を上程し、全会一致で可決しました。(右参照)

《主な執行部提案議案》

  • 補正予算案:人件費等、残余の見込みに対するマイナス補正
  • グローバル創業・雇用創出特区の推進に関する条例案(※)
  • 地方活性向上地域における本社機能の整備促進に関する条例案
  • 市税条例の改正(※)
  • 福岡市立学校職員の給与に関する条例の改正
  • 県費負担教職員の給与負担等の権限移譲に伴う関係条例の整備に関する条例
  • 建築物における駐車施設の附置等に関する条例の改正
  • 自転車等駐車場の附置及び建設奨励に関する条例の改正 など

  ※下記の議案質疑を参照ください。

 TOPICS

議員提案条例

福岡市空家等の適切な管理に関する条例

 平成26年4月施行の議員提出条例の「福岡市空き家の倒壊等による被害の防止に関する条例」ですが、平成27年2月に、「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、法律と現行条例の間に相違が生じることとなりました。
 新条例は、法律と現行条例との整合性を図り、それぞれの良い部分を生かすことで、空き家対策をさらに充実していくために議員提案し、全会一致で可決しました。

① 対象の拡大(法律に合わせる)
空き家倒壊等に対処する「保安」⇒「保安」+「衛生」「景観」「生活環境」
② 対処の程度(条例を維持)
法律:著しい悪影響を及ぼす場合⇒著しくはなくても悪影響を及ぼす場合
③ 措置の整理
法律の強権的な措置の前段として条例による指導等を実施し、一体的な運用へ。

新興企業に対する法人市民税の減税条例
〜本当に法人実効税率は下がるのか? 質疑を通じて徹底検証!〜

議案質疑[12月14日] 田中 しんすけ(中央区)

 今回の条例案は、国家戦略特区の指定を受けている福岡市が、創業支援をさらに充実させるために「一定の要件を満たした新興企業に対して、設立から5年以内に限り法人市民税(法人税割)を全額免除するという内容です。これにより福岡市は「既に始まっている国税(法人税)の軽減措置と合わせて、本市の法人実効税率を、シンガポールを含めたアジア主要国と競争力のある水準にまで引き下げることができる」と主張しています。
一見すると効果的なプランに思いますが、今回の議案質疑を通じて、
①適用条件が厳しく、特に既に創業している若い企業にとっては指定のハードルが高い。
②事業領域や内容によっては、国税(法人税)軽減措置を受けられないため、その場合は法人実効税率が28%までしか下がらない。
③国税(法人税)軽減措置は全国で申請を受け付けているが、申請件数はゼロ。
④そもそも適用企業数や減収となる税額、政策効果について試算がなされていない。
 といった様々な課題が浮き彫りに。答弁を聞く限り、「実際に指定を受けることができる企業はほとんど無いのではないか?」という印象が強まるとともに、新たな創業を考える人たちに対する『誇大広告』になる可能性が高い点が明らかになりました。
 「もっと税金優遇が受けられると思っていたのに期待外れだった」
などという評価を受けるようなことが無いよう、国税と市税のそれぞれの軽減措置の違いについて丁寧な説明を行うよう強く要求しました。

博多駅前2丁目交差点付近の陥没事故について

一般質問[12月15日] 太田 英二(城南区)

 地下鉄七隈線延伸工事に起因する博多駅前の大規模陥没事故は、人的被害がなかったことは不幸中の幸いでしたが、決してあってはならない事故です。本市での地下鉄工事が原因となった事故はこれで3度目。これまでの教訓が活かされておらず、市民の信頼回復は容易ではありません。質問では、「事故発生後、道路を含めたインフラの仮復旧を1週間で完了させ、その意味で評価されている向きもあるが、この事故は『人災』である可能性が極めて高いことを本市はしっかりと認識すべきである」と指摘しました。
 また、事故の原因については、国の土木研究所に設置された専門委員会において調査が行われていますが、「できる限り早急に事故原因を究明し、今後の地下鉄延伸工事における事故の再発防止に取り組むべき」と要望。市長は「今回の道路陥没事故については徹底的な原因究明を行い、再発防止に全力で取り組むことで市民の不安を解消したい」と答弁しました。

道路陥没に関する検討委員会
写真:福岡市提供資料より 博多駅前付近で発生した道路陥没事故を受けて、国立研究開発法人・土木研究所に『福岡市地下鉄七隈線延伸工事現場における道路陥没に関する検討委員会』が設置されました。同委員会は国土交通省の幹部を含めた12名の委員で構成されており、道路陥没の発生原因の把握や、再発防止等について専門的見地から検討することを目的としています。
 平成28年11月29日に開催された第1回会議では、七隈線延伸事業の設計および施工に関する経緯や、福岡市交通局が工法を選定した際の基本的な考え方等について検証する必要性が指摘されました。本年1月にも開催される第3回会議において、「事故原因の特定」「今後の再発防止策」等について中間とりまとめが発表される予定です。

POINT

社会的養護のもとで暮らす若者支援の拡充を!

一般質問[12月16日] 落石 俊則(東区)

①児童養護施設や里親等、社会的養護のもとで暮らす高校生が就職や大学・専門学校に進学する際の支援として、国や市から就職支度金、大学進学等自立生支度費が支給されていますが、合計32万円余りでたった一度の支給です。そこで、本市独自の給付型奨学金制度の創設や大学等支度金の増額、さらには児童養護施設が設けている基金を広報する等、支援を拡充すべきと要望。「市民の支援が広がっていくよう、HP 等を活用し、基金等の広報に努めていく」との答弁を得ました。
②本市の水産業を地域の重要な産業として次世代に引き継ぐには、地元水産物の消費拡大や地産地消・魚食普及の取り組みが重要です。消費者の魚離れが依然として進行する中、本市では、中学校にて漁協女性部の指導を受けながらアジ等の地元水産物を使用した料理教室が行われています。魚食習慣は若年期からの食体験に影響を受けることから、料理教室の実施校を増やしていくべきと要望しました。

地域産材の積極的活用で林業の振興を!

一般質問[12月19日] 阿部 正剛(東区)

 本市面積の約32%を占める森林における人工林のうち、スギやヒノキの7割が樹齢41年以上の利用期を迎えていることから、伐採作業の効率化へ向けた林道などのインフラ整備を求めるとともに、「地域産の木材を利用し、学校等の公共施設における木質化などへ積極的に取り組むことが林業の振興につながるのではないか」と質問。「平成29年度からの次期農林業総合計画において、重要な課題と位置づけ、地域産材の流通の仕組みづくりや利用促進、また、未利用間伐材の木質バイオマスなどへの利活用へ取り組む」との答弁を得ました。
 成人のひきこもり支援には、就労や就学など社会参加につながるグループ支援をはじめとする各種相談体制の充実を図るとともに、中学校卒業時の引きこもりの生徒に対しては、旧担任などの教員が家庭を訪問し、保護者や生徒の悩みや相談を受け、適切な機関につなぐなど、社会的自立にむけた支援に取り組んでいくべきと要望しました。

福岡市民クラブ 会派基本政策の実現に向けて、鋭意活動中!

平成29年度 予算要望書を市長に提出!!

 12月8日(木)、福岡市民クラブ9名にて、高島市長に「平成29年度予算要望」を提出しました。要望は、我々の掲げる「会派基本政策2015」(※)の実現に向けて、生活保障戦略・成長戦略・地域主権戦略の全73項目144施策にのぼり、昨年提出した予算要望に対し、新たに43施策を加えての要望となりました。
 主な要望施策を具体的に挙げると、

  • 生活保障戦略では、①子どもの権利保障 ②待機児童・未入所児童の解消と障がい児保育の推進 ③社会的養護体制の充実 ④元気な高齢者のまちづくりの推進 ⑤安心できる労働環境の整備 ⑥防災対策および災害時の要援護者に対する支援など。
  • 成長戦略では、①港湾物流機能の強化 ②再生可能エネルギーの普及拡大 ③農業・水産業の振興と林業の再生 ④ヒートアイランド対策 ⑤いじめ・不登校・ひきこもり対策の推進 ⑥就学前教育の充実など。
  • 地域主権戦略では、①市民に開かれた市政の推進 ②人権尊重の市政推進 ③市民参加型の行政改革会議の設置 ④区役所サービスの向上 ⑤非核・平和都市の推進と平和について学ぶ機会の拡充など。

 私たちの予算要望が、平成29年度予算に反映されるよう、3月の予算審議に向けてしっかりと準備を進めていきます。

予算要望書を提出する阿部代表(右)と高島市長(左)
9名全員で予算要望を実施
会派基本政策2015については、福岡市民クラブホームページに掲載いたしております。