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議会通信 vol.97 2024年 新春号


 新型コロナが5類に移行してから初めて迎える年末年始、各地でにぎわいが戻りつつありますが、物価高や世界各地の紛争などが市民生活に大きな影響を及ぼしています。コロナ禍で傷んだ市内経済を立て直すとともに、市民生活を守る施策を積極的に展開する必要があります。今期11人に増えた市民クラブが、真の政策提案集団として市民生活の安定に寄与できるよう、本年も研鑽を重ねてまいる所存です。会派にとっても市民の皆さんにとっても「昇龍」の年となるよう、会派一丸となって邁進します。

                                         福岡市民クラブ

12月6日(水)高島市長へ「令和6年度予算要望」を手渡しました。
統一地方選挙時に示した『会派基本政策2023』の4分野に集約した施策を元に、コロナ禍で傷んだ市内経済と市民生活の両方を回復させるための視点も盛り込んだ64項目188施策を要望しています。
令和6年度は第10次福岡市基本計画の策定の年であり、多くの実施計画の改訂にもつながることから、本市の将来を占う上で重要な年度と位置付けています。私たちの要望が、令和6年度予算に反映されるよう、第1回定例会の予算審議に向けてしっかりと準備を進めていきます!

❶ 生活保障分野 17項目(56施策)

  • 保育・教育の充実/児童虐待防止/ファミリー世帯の家計負担軽減/ワークライフバランスの推進 
    健康寿命延伸施策の充実/介護事業支援/地域での暮らし支援
    労働環境の整備/障がい者の就労自立支援/女性活躍推進/生活困窮者支援など

❷ 成長分野 16項目(48施策)

  • 福岡空港博多港の機能強化/独自観光施策の充実/世界に通じる食産業育成地場企業の成長支援/DX社会への対応支援/農林水産業の振興賑わいと憩いの都心づくり/都心部の交通対策交通ネットワークの再構築など

❸ 地域分野 13項目(32施策)

  • 行政と地域のパートナーシップ強化/地域の担い手づくり支援/通学路等の交通安全推進行政サービスの利便性向上/公共の役割の明確化市民負担を軽減した公共施設の維持・建替議会費の拡充/政治教育の推進など

❹ 共生分野 18項目(52施策)

  • 地域防災力の強化/地球温暖化対策推進/再生可能エネルギーの普及促進あらゆる差別の解消/ジェンダー平等・男女共同参画の推進/ペットとの共生学びの機会の保障/教員の業務負担軽減きめ細かな教育の実施/伝統・文化振興など

<会派代表交代>
12月定例会中に会派代表が田中しんすけ議員から池田良子議員へ交代しました。何卒よろしくお願いいたします。

第6回定例会(12月11日~12月19日)が招集され、令和5年度一般会計補正予算案、条例案など全58議案について審議しました。

保健所機能の
一元化について

広域的な健康危機事案に対応するため、各区保健所機能の一部を集約し、「福岡市保健所」として体制強化を図るもの。保健福祉センターとしての役割は各区に残ります。全体の予算や、保健行政にかかわる職員数を削減するといった内容ではなく、広域的、専門的な事案にも対応できるよう、体制の見直しを図ったものです。

体制
7区保健所長 + 7区センター長
保健所長ごとの判断で運営
    コロナ禍で見えた課題
区ごとの判断のため、対策に差が生じる
区を超えた危機事案への対応が必要
人口や世帯が異なり、発生事象が異なる
 =保健師等の経験不足が生じ、育成が懸念
情報収集に時間を要し、対応の遅れにつながる
医療機関など、複数区に対する報告が発生
 =手間と時間がかかり、負荷がかかる
利点
市民生活に身近な窓口として認知度大
区によって特徴的な対応が可能

体制
市保健所長 + 7区センター長
保健所長に市内の情報集約
対応
新たに健康危機管理の統括機能を置く
 =新興感染症などに機動的・即時的に対応可
感染症対応業務を集約
 =医師・保健師等の専門職の育成
市保健所の業務分野はチームで対応
 =市内各所で発生する事案に臨機応変に対応
 (アウトリーチも含め)
  • 市民に対する窓口(食品環境衛生・医事薬事を含む)はこれまで通り、「各区の保健センター」で変更はありません。

12月議会補正予算 総額…246億7,500万円余

物価高騰緊急支援給付金 …175億2,100万円余

  • 住民税非課税世帯に対する1世帯当たり7万円を給付

中小企業等への燃料費等支援 …10億円

  • 価格高騰の影響を受けた燃料費や光熱費について影響額の2分の1を支援 ほか

 福岡市障がい者差別解消条例の改正

障害者差別解消法の改正により、令和6年4月1日から、事業者による障害のある人への合理的配慮の提供が義務化されます。それに伴い、本市の条例においても、これまで民間の事業者の「努力義務」とされていた合理的配慮の提供が、国や地方公共団体などと同様に「義務」とされます。

保健所一元化に対する市民の不安を払拭せよ!

議案質疑[12月11日] 井上 まい(城南区)
 
 新型コロナウイルス感染症が大流行した際、その重要性が再認識されていた保健所行政。「保健所一元化」との各社報道に驚かれた方も多いかもしれません。そんな市民が抱える不安を払拭するため、一元化とはどのような体制変更となるのか、市民への影響はないのかなどを中心に質疑しました。コロナ禍で明らかになった健康危機事案への対応課題などをもとに、あくまでも、広域的・専門的な機能のみを一元化するものであり、窓口対応が必要な保健所関連業務や、各区保健福祉センターの保健福祉サービスは今までと変わらず各区に残るということを確認。市民にとっては、今回の一元化による影響はほとんどなく、むしろ適切な人員配置や体制変更により、本市の保健行政の機能強化が図られる旨の答弁を得るとともに、市民に対する丁寧な説明を求めました。

福岡から国を変える、その覚悟を市長に問う

一般質問[12月12日] 田中 しんすけ(中央区)

 今議会では、市長公約に関連して「地域コミュニティ支援のあり方」と「今後の教育行政」の2点について取り上げました。地域コミュニティについては、本市の自治会・町内会と民生委員それぞれの現状を踏まえ、都市化が進んだ地域ほど厳しい状況にあることを指摘しました。教育行政については、教師の働き方改革が遅々として進んでいない実態を明らかにし、抜本的な改革の必要性を訴えました。
 また、そもそも民生委員制度も教育行政も、国に依存するところが大きいことも事実。そこで、市長に対して「これら全国的課題となっている分野については、『福岡から国を変える』という強い意気込みを持って、他の首長と連携しながら改革に向けて行動すべきではないか?」と尋ねましたが、残念ながら強い覚悟とリーダーシップを感じさせる答弁はありませんでした。

あらゆる人々の人権を守るために

一般質問[12月13日] 池田 良子(西区)

 2024年4月から、「困難な問題を抱える女性への支援法」が施行されます。非正規やひとり親家庭、DV、若年女性への性暴力、障がいのある女性、単身高齢女性、外国人女性など女性が抱える問題は複合化しており深刻です。新法の理念に則り支援のための基本計画の作成、臨床心理士など有資格者相談員の増強によるアミカス相談窓口の強化、民間の支援団体と行政との協働による支援調整会議の設置などを求めました。また、昨年実施の「人権問題に関する市民の意識調査」の結果を踏まえ、部落差別の実態を明らかにし、専任職員の配置によるインターネット上での差別書き込みや差別動画のチェック体制、2016年部落差別解消法の制定以来、福岡県内でも既に13市町村が制定している「部落差別やあらゆる差別を包括した差別解消に関する条例」の制定を求めました。

障がい者が地域で豊かに暮らせる福岡市を!

一般質問[12月14日] 田中 たかし(西区)

 重度心身障がい者の外出にユニバーサルシートが必須ですが、本市が把握する設置個所は市内80箇所と少ないことから、民間施設にも設置の働きかけをするよう求めました。また、設置されていても狭くて介助者が身動き取れないところも多いことから、広さ要件の見直しも要望。加えて、ユニバーサルシートという呼称が大型ベッドや介護用ベッドなど様々であり、本市のバリアフリーマップではトイレ内介護ベッドと検索しないとヒットしない点も質し、適切に改良更新する旨の答弁を得ました。他にも強度行動障害のある方も取り上げ、健常者にとっては些細なことでも障がい者には大きな障壁となっている事案は多いと指摘。障がい者と共に生きる市民の意識改革も含め、障がい者が地域で豊かに生活していける福岡市の実現に向けて迅速な対応を強く要望しました。

おむつ定期便は持続可能な子育て施策へ!

一般質問[12月14日] 近藤 里美(南区)

 本年8月に始まったおむつと安心定期便は、3歳未満児を対象に、保育園やこどもプラザ等の利用時に取得するスタンプを使って、月1回おむつなどの子育てグッズが届くというもので、利用者は約25,000人。本事業は、子育て世帯の孤立化や虐待の防止と家計支援が目的で、地域の子育て交流サロンの参加者同士や民生委員との対話を通じた地域でのつながりづくりが期待されています。
 一方、今年度予算は約11億円で、年間通して実施すればさらに増大、サービス提供にも限界があります。今後も継続していくためには、クーポン化し買い物時にスーパー等で受け取るなど、子育て世代の皆さまにもご協力をいただき、3億円超の配達料をはじめとする費用削減に努める必要があります。「物流の2024年問題」が叫ばれる中、宅急便を前提としない事業への見直しを求めました。