議会通信 vol.93 2023年 新春号
今冬は、新型コロナウイルス感染症と季節性インフルエンザの同時流行への不安が拡がりつつあります。加えて、物価高騰の波がさらに押し寄せることが予測されるため、必要に応じた感染症への対策と合わせて、市内経済の立て直しや暮らしの下支えに資する施策に取り組む必要があります。市民の命と財産を守るための備えを欠かすことなく、豊かな暮らしと地域の活性化につなげていくため、「さらなる飛躍の年」に向けて会派一丸となって邁進します。
福岡市民クラブ
12月7日(水)、髙島市長に「令和5年度予算要望」を手渡しました。
福岡市内の新型コロナ感染者数は再び増加を続け、季節性インフルエンザとの同時流行への不安が拡がりつつあります。加えて、更なる物価高騰による市民生活への多大な影響が予測される中、暮らしを支えるための負担軽減は必須の課題であると認識しています。
令和5年度は、市民の暮らしを守る基礎自治体として、必要に応じた感染症対策と合わせて、コロナ禍と物価高騰の二重の影響により傷んだ市内経済の立て直しに資する施策に取り組む必要があることから、「第11回議会活動報告会」でいただいた声も含め、以下の内容について要望しました。
私たちの要望が、令和5年度予算に反映されるよう、第1回定例会の予算審議に向けてしっかりと準備を進めていきます!
Ⅰ. 家計の負担軽減のために
① 暮らしにかかる費用負担の軽減
あらゆる公共料金・公共サービスを対象に検討
② 子育て世帯に対する負担の軽減
就学援助制度の拡充/学校給食費や医療費の負担軽減 など
Ⅱ. 市民生活を支えるため
① 子どもたちの「学び」「遊び」を支える
放課後の補充学習/不登校児童生徒の支援強化/専科教員の増員 など
② 高齢者の暮らしを支える
生活交通の確保/高齢者乗車券の拡充 など
③ 「エッセンシャルワーカー」の職場を支える
介護や幼児教育・保育の職場改善と人材確保 など
④ 市民の不安や心配な気持ちを支える
相談窓口の充実/「デジタル化」対応に向けた学習機会の充実 など
Ⅲ. 地場企業・中小事業者の経営を支えるために
① 事業継続に向けた支援
必要なノウハウ提供や費用負担の軽減 など
② ビジネスチャンスの創出
「世界水泳大会」を契機とした機会創出 など
第5回定例会(12月13日~21日)が召集され、一般会計補正予算案、条例の改正案など、全34議案について審議しました。中でも、補正予算で新たに提案された「オンライン診療サポート事業」と我が会派の議案質疑についてご報告いたします。
オンライン診療サポート事業について
現在、福岡市内でコロナ陽性者のためにオンライン診療を実施している医療機関は60機関(12月1日現在)。徐々に増加しつつあるものの、昨夏のコロナ流行時における医療の逼迫状況を踏まえ、自宅療養者に対する支援の強化も求められています。今回の補正では、インフルエンザとの同時流行をにらみ、コロナ陽性の自宅療養者への医療提供体制の強化をはかることを目的として、オンライン診療を実施する医療機関のさらなる増加につなげることと合わせて、オンライン診療の利便性の強化をはかるサポート事業を実施します。
- 事業内容
- 市内のオンライン診療(約50機関を想定)の共通申込みサイトを立ち上げ、利用可能なオンライン診療機関に受診希望者をつなぐ。
- 実施予定期間
- 2023年1月(末までに開始予定)~2023年3月末まで
- (利用を延長する場合は、別途、確認いたします。)
- 利用対象者
- 新型コロナウイルス感染者で自宅療養者
- [注 意]
- 個別の利用については、事業の開始後、福岡市のホームページにて確認願います。一般診療については、各医療機関にて実施している通常の「オンライン診療」を利用願います。
「創意工夫」を凝らした独自の充実支援を!
議案質疑[12月13日] 田中 たかし(西区)
一般会計補正予算案から出産・子育て応援事業について質問。本事業は妊娠・出産期の伴走型相談体制の支援と経済支援を一体的に行うことを目的とした国の事業であり、実務は市町村が行うとされています。国は各自治体で「創意工夫」を凝らし、地域事情に見合った内容整備を求めているため、本市はどのように事業を進めるのか質問しました。「妊娠届提出時と出産後の保健師自宅訪問の際の面談を条件に、それぞれ5万円ずつ支給、事情に応じて電話やWebによる面談も可能、転居した場合も支給は受けられる、本年4月の出産まで遡って支給される」ことなど確認し、今後は対象者が確実に受けられるよう周知の徹底や、妊娠出産に伴うあらゆる事態を想定した事業設計をするよう要望しました。
一方で、議案提出時点で市の対応が未定の部分が多かったことから、事業内容の詳細を詰めてから議会に上程しなければ判断材料に乏しく議案として不十分であることも指摘しました。
天神ビッグバンは市民のためにあるべき!
一般質問[12月14日] 成瀬 穫美(南区)
急激な再開発で変貌する天神が市民に何をもたらすのかを問いました。規制緩和により延床面積が従前の約1.7倍になり、多くの公共スペースも生まれることについて、市は「天神ビッグバンや博多コネクティッドにより生み出される公開空地については、標示板を設置することとしており、利用しやすい場となるよう努めていく」とのこと。それに対し、標示板の分かりづらさに加え、賑わいや多様な交流を促進させるには人の動線をデザインしなければならないと指摘。呼称を「市民の広場」や「みんなの広場」等にするとともに、買い物や飲食をせずとも気軽に立ち寄れ、市民が街づくりに参加するための拠点づくりなどを提案しました。
また、男女共同参画部の福岡市役所からアミカスへの移転による成果を検証。利用者アンケートからは男女共同参画の拠点として利用されていないことが判明。ジェンダー主流化を意識した組織づくりと企画運営に取り組むことを要望しました。
夢を追う子どもの習い事応援事業の改良求む
一般質問[12月15日] 山田 ゆみこ(博多区)
収入の低い世帯やひとり親世帯の子どもは習い事などの参加割合が低く、体験の機会も少ない傾向にあることから、2022年7月より、生活保護・ひとり親世帯の子どもたちを対象に「子ども習い事応援事業」を開始し、学習塾や文化・スポーツ教室の月謝などに充当できるよう、月額1万円の助成を実施しています。対象は小学校5年生から中学校3年生までで、この時期は、受験を控えており、学習塾に通えることは効果的だと思われます。一方、文化やスポーツに関しては、小さい頃から携わった方が良いものもあり、対象年齢の拡大を検討する必要があると考えます。
また、種目によっては、習い事を始めるにあたり器具の購入費用が生じる、習い事を継続していく上で追加費用が必要になるなど、家計に大きな負担がかかります。現在の助成は月に1度で、助成の全額を活用できないケースもあることから、助成方法も含め、本事業の改善に向けてしっかり検討して頂くよう、要望しました。
アイランドシティ事業は本当に黒字か検証!
一般質問[12月16日] 井上 麻衣(城南区)
今年で28年を迎え、事業の終わりが見えてきたアイランドシティ整備事業について、8月に150億円の黒字見通しとなったことが発表されました。質問を通じ、黒字と転じた様々な要因を分析しましたが、コロナ禍による物流用地の需要の高まりや低金利政策による支払利子の大幅な減少など社会の経済情勢の変化による追い風を受けた黒字転換であったことが分かりました。ただし、この黒字は整備事業だけの数字です。本市が自ら土地を購入した155億円や、企業誘致のため立地企業に交付した260億円などについては考慮されておらず、総合的にアイランドシティ事業を黒字見通しと評価すべきかどうかは慎重に考えなければなりません。
また、市長から150億円のうち100億円をこども政策に充当する考えが示されましたが、黒字かどうかにかかわらず、必要な政策には予算確保をすべきであること、こども政策のみならず市民の暮らしを向いた政策を検討すべきであると質しました。
学校給食費、保護者の負担軽減を求める!
一般質問[12月16日] 落石 俊則(東区)
2021年度実施の「子どもの生活状況等に関する調査」によると、コロナ前と比較し“経済的理由のため支払いができなかったもの”として、『塾・習い事の月謝』や『衣服の購入等』と答えた割合が、この5年間で2倍、多いものでは3倍以上と増えている一方、『給食費』と答えた割合は、同水準であることが分かりました。これは給食費を最優先に支払うことで、塾・習い事や衣服の購入などにしわ寄せがいっているとも考えられます。
2022年度の給食費については、物価高騰の影響が保護者に及ばないよう、給食食材費の高騰分を公費で負担しています。当面は物価高騰が続くことが予測されることから、家計の負担増を防ぐべく本市の支援の継続を要望。市長より「2023年度も給食食材の物価高騰分に対する支援に取り組んでいきたい」との答弁を得ました。今後も、給食費完全無償化を視野に、多子世帯への給食費無償化やパン・ごはんなどの主食の無償化等を求めていきます。
福岡市議会から政府に提出する意見書について議論
内 容 | 立案者 | 結果(対応) |
知的障がい者福祉施策に対する法整 備等を求める意見書 |
公明党 | 可決(賛成) |
物価高騰の中で最低賃金の緊急的な 引上げを求める意見書 |
共産党 | 否決(反対) |
生活保護基準の緊急的な引上げを求 める意見書 |
共産党 | 否決(反対) |
● 福岡市民クラブの対応について
現在、物価高騰に伴い多くの市民が影響を受けています。その影響は多岐にわたり、「国が緊急的な対応を実施する必要がある」ことを痛感しており、各議員が所属する政党等を通じて求めているところです。
今回の対応については、「最低賃金」「生活保護基準」に限らず、中小事業者や年金受給者も含めて、困窮している多くの国民に及ぶ総合的な施策を求めるべきという考えから、「反対」の立場をとりました。
議会基本条例いよいよ形に!
「地方議会の憲法」ともいわれている「議会基本条例」は、前期から引き続いて議会改革調査特別委員会の中で調査・議論がされてきました。すでに制定されている自治体も多く、福岡市民クラブもこれまで条例制定に向けて積極的に働きかけてきましたが、昨年12月13日の委員会において、ついに制定に向けた各派の同意を得るにいたりました。本年2月の令和5年第1回定例会で議案が上程されることとなります。
議会主催の市政報告会の必要性や執行部の反問権など、内容については会派間で考え方の差があり、今後、修正を含めた議論も必要な項目はありますが、まずは議員全てが賛同できる内容とすることに重点を置き、これまで丁寧な議論を重ねてきました。
今回、制定への見通しが立ったことで、大きな一歩を踏み出すこととなりますが、福岡市民クラブはこの歩みを止めないよう、引き続き議会改革実現のために活動を続けてまいります。