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議会通信 vol.83 2020年 秋号

第5回定例会(9月4日~10月9日)が召集され、一般会計補正予算案、条例の改正、令和元年度決算に関する議案等、全63議案について審議しました。中でも、新型コロナウイルス感染症による影響を踏まえて行った一般会計の補正について、ご報告いたします。

一般会計補正予算の主な内容

市税収入の減 160億円

法人市民税、市たばこ税、宿泊税等の減収見込み
減額分の財源確保のため、減収補てん債の発行や今年度の事業の見直しを実施

新型コロナウイルス感染症対策

検査・医療提供体制の強化
保健環境研究所への自動遺伝子検査装置の導入 等


市民生活の支援
インフルエンザ予防接種費用の負担拡充、介護施設等従業者のPCR検査費用の助成、電子図書館事業のスタートに向けたシステム導入
子どもの学びの確保
令和3年度小中学校での35人以下学級に向けた教室整備、LTE付端末の整備
経済活動の支援
新たな生活様式に対応した宿泊施設の多様な利用を促進するための助成、事業者向け支援金等の申請サポート事業

市議会に対し意見書を提出、可決!

  • 9月定例会に際し、福岡市民クラブより3点、他会派立案の意見書3点について審議しました。福岡市民クラブ立案の議決結果は、下記の通りです。
内 容 結 果
 ○ 教育予算の拡充を求める意見書 全会一致 可決
 少人数学級の推進を求める意見書 賛成多数 可決
 選択的夫婦別姓制度に関する議論を深めるよう求める意見書 賛成多数 可決

市民目線の充実したコロナ支援を!

議案質疑[9月4日] 田中 たかし(西区)

 コロナ対策の実施内容として少人数学級整備、インフルエンザ予防接種助成金、文化・エンタメ関連業への支援などについて質問。少人数学級の実施に伴う教育現場の負担増、ワクチン確保体制への不安、また、文化・エンタメ事業者への支援が今回で3度目であることを踏まえ、支援対象に偏があるのではと指摘。低所得者や離職者など依然十分な支援が届いて無い方が大勢いる点も踏まえ、これからも続くコロナ禍に対応するため、財源不足によって市民生活に悪影響が出ないよう不要不急の支出を徹底して検証するなど均整の取れた財政運営を求めるとともに、限られた財源を効果的に活用しながら安定した市民生活を確保するよう強く要望しました。

土砂災害被害を防ぐため支援策の拡充を!

一般質問[9月8日] 田中 しんすけ(中央区)

 近年の豪雨や長雨の影響で、丘陵地にお住いの方から「崖崩れに備えて防御壁を作りたいが費用が高い」「隣家が空き家で斜面の管理が不安」といった相談が増加していることを受けて、『土砂災害による家屋被害を未然に防ぐための支援策の拡充』を訴えました。現在は国の助成制度がありますが、本市ではこの制度が創設されて以降全く活用されていない実態を指摘。そこで、「丘陵地家屋の実態を調査・把握し、使い勝手の良い本市独自の支援策を創設すべき」と主張しましたが、当局は「国の助成制度について周知していく」という消極的な姿勢を示しました。このような状況を放置しておくことは極めて問題であり、引き続き議会で発言していきます。

高齢社会に即した生活交通の充実を!

一般質問[9月9日] 池田 良子(西区)

 高齢化率の上昇に加え、運転免許証の自主返納の広がりなどで、買い物や通院などの移動手段を公共交通で確保していくことは、切迫した今日的課題となっています。「生活交通条例」の制定から10年が経過し、これからの時代にふさわしい条例の見直しを求めました。2020年度より市立中学校の標準服がスカート、スラックスなど選択制になりました。市立小中学校では、混合名簿の使用率100%となり、新一年生の黄色い帽子の統一など多様な性に対応した環境が整いつつありますが、中学校の校則は、頭髪など未だ「男女」別になっています。各校の標準服の見直し時に生徒の意見が反映されたように、校則に関しても生徒が主体的に関わることを求めました。

30人以下学級の早期実現で教育の改革を!

一般質問[9月10日] 成瀬 穫美(南区)

 2月の終わりの学校臨時休業から半年が経過。再び学びを止めてはならないという思いを込め、コロナ禍を超えた今後の学校づくりについて質問しました。オンライン授業の形、衛生面の対策、教師の負担、子どもの意思決定に関する対応について質問し、それらを解決する糸口は、少人数学級の実現をおいて他はないと言及。
 しかしながら、市は来年度からの35人以下学級の編成は「暫定的」だと繰り返し、恒常的な取り組みに慎重な姿勢。国際的には学級編成基準は20~30人が多いと指摘した上で、更なる少人数学級の実現を目指していくよう要望しました。また、社会的問題となっているインターネット上の誹謗中傷による人権侵害についても質問しました。

ひとり親家庭の正規雇用支援を強化すべき!

一般質問[9月10日] 落石 俊則(東区)

 新型コロナ感染拡大の収束が見通せない中、非正規雇用で働く多くのひとり親家庭の暮らしはさらに厳しくなっています。2019年6月「子どもの貧困対策に関する法律」が改正され、貧困の連鎖に歯止めをかけるため職業と家庭が安心して両立できる保護者の就労支援策の拡充が打ち出され、ひとり親家庭からも正規雇用への支援策強化の声が上がっています。国は安定した収入を得られる正規雇用の資格取得を後押しする「高等職業訓練促進給付金事業」を進めており、対象資格を医療・福祉関係以外に広げるとともに、安心して修業できるようその期間中の市独自の経済的支援を行うとともに、早期の実態調査と併せ、支援の方策を拡充するよう要望しました。

 令和元年度決算特別委員会開会 [9月18日(金)~10月8日(木)]

 一般会計の決算概要について、歳入は前年度に比べ約257億円(3.0%)増となりました。中でも市税収入は約119億円増加し、過去最高額を更新しました。
 歳出は前年度に比べ約257億円(3.1%)の増となりました。目的別にみると、こども育成費が約85億円、保健福祉費が約30億円増えた一方で、都市計画比が約30億円減少しているところが特徴です。
 歳入と歳出の差額(約126億円)は、次年度以降の不測の事態に備え、一部を財政調整基金に繰り入れます。

市内在住の外国人の子ども達への学習保障を

総会質疑[9月23日] ついちはら 陽子(東区)

 市立の小中学校に在籍している外国人の児童生徒は1,021名(令和元年度)にのぼります。アジアの玄関口である福岡市では、今後さらに増加が見込まれる外国人の子ども達への学習支援を更に強化していく必要があります。現在、拠点校等に計27名の日本語指導担当教員を配置し、当該の子ども達への日本語指導に努めていますが、決して十分とは言えません。本年度導入される端末を活用し、オンデマンド動画を使った日本語指導を取り入れるなど提案したところ、「今後、家庭でも日本語の学習に取り組むことができるように、日本語指導に関する動画を福岡つながるクラウドを活用して配信し、日本語指導の充実に努めていく。」との前向きな答弁を得ました。

図書室の充実と期日前投票所の増設を求む!

総会質疑[9月24日] 井上 麻衣(城南区)

 学校図書室の充実について、家庭での新聞購読率の低下を指摘し、新聞配備を要望。また、環境整備の為に、現在1人で4・5校を掛け持ちしている学校司書を全校に配置する必要性を質しました。さらに、読書への関心を高めるのと同時に、表現力やコミュニケーション力を身に付けられる取組み案として、おすすめの本を児童生徒自らが紹介する企画「推し本総選挙」を提案しました。投票率向上の為の取組みについては、有権者の利便性向上はもちろん、感染症対策の面でも、期日前投票所増設の必要性について認識を問いました。大型商業施設の活用も視野にいれた増設を早急に検討すべきであることを質し、民間施設も含め調査するとの答弁を得ました。

子ども達の防犯意識の向上にむけた取組を

総会質疑[9月25日] 山田 ゆみこ(博多区)

 今や、子ども達の間でも、スマートフォンや携帯電話を持つことは当たり前になっています。ご家族にとっては居場所も把握でき、安心感を得られるように思いますが、使い方を誤って犯罪に巻き込まれた事例が全国で多発しています。
 福岡市の小中学校では、犯罪に巻き込まれないように防犯教室を行っていますが、通信会社と連携した情報モラル教室は各学校判断で実施しており、統一化がはかられていないことが質疑でわかりました。今後は、防犯教育の内容の統一と合わせて、特に、低学年についてはいざという時の対応力を身に着ける体験形式の内容を盛り込むなど、子ども達が犯罪に巻き込まれない、被害者にならない取り組みを強く要望しました。

厳しい財政下、老朽化対策計画は前倒しで

総会質疑[10月7日] 近藤 里美(南区)

 福岡市の税収が7期連続で最高額を更新した一方で「財政は厳しい」と言われます。義務的経費(扶助費、人件費、公債費の合計)の推移は年々増加し、直近では54.5%となりました。人口増と高齢化が進む中、さらに義務的経費が嵩むことが予想され、財源確保は最重要課題です。
 一方、昭和40年代に建てられた多くの行政施設は築40年を迎え、計画修繕や建替えの必要性に迫られており、令和元年度決算では900億円にのぼります。市内226校の内、156校の校舎が築40年超え、東区・南区・早良区の3区役所は築50年を迎えます。業務継続が命題である施設の建替えは、横断的なチーム等により、施設の投資総額の抑制も踏まえつつ、計画策定の前倒しを求めました。